「君を愛するつもりはない」どこぞの大衆小説で読んだような、オリジナリティの欠片もないようなセリフから始まった、散々な結婚初夜。財政難を抱えた公爵家から、なかば生贄のようにして伯爵家に嫁がされた平民出身の公爵令嬢・アナスタシアは、夫となる伯爵家の若き当主・ユージーンにそう告げられる。不遇な身の上、冷たい待遇、夫からの愛のない言葉にアナスタシアは自身の身を憂い、ショックを受ける……のではなく、立ち上がる。歓迎されるなんて最初から期待していない。気弱で従順な令嬢のフリはもうお終いよ。アナスタシアはカーテシーを決めてにっこりと微笑んだ。「ビジネスパートナーになりましょう、旦那様」