【本作品は同人誌となります】
親の虐○を逃れ、施設で暮らしていた三太(さんた)。
ある日、彼の元に美しい女性が会いにやって来た。
三太は寮母さんから、その女性について衝撃的な説明を受ける。
その昔、病院で赤子の取り違えがあったというのだ。
この女性、釜野君依(かまのきみえ)こそ、あなたの本当の母親だと言うのである。
三太を家に連れて帰る母、君依。君依は三太に、
自分のこれまでについて話をした。
自分と暮らしてきた子供は、先日病気で亡くなったという。
病気の検査の過程で、親子ではないことが判明したが
子供にはそのことを告げずに、
実の親として最後まで闘病を支え続けたのだという。
三太はその話を聞いて、少年の闘病を可哀そうに思ったが、
同時に羨ましくも思った。
こんなに優しいお母さんが、最後まで手を握ってくれていたなんて。
僕には望むべくもない…。
三太は育ての親から全く愛されずに育った。
下の兄弟二人は親の虐○で命を落としている。地獄のような日々を過ごしてきた。
三太の育ての親はヤクザまがいの連中とつるみ、
常に金づるになる相手を探して暮らしていた。
自分が君依ママと暮らすようになったら、
きっとこの家に金銭を無心しに来るだろう。巻き込んではいけない。
三太は身を切って施設に戻ろうとしたが、君依は三太を離さなかった。
「大丈夫よ。何の心配もいらないわ。
向こうの親とはもう話がついているの。今後一切、私たちと関わることはないわ。
三太はここに居ていいの。いい?ここが、あなたの家なのよ」
そう言われて、はじめて母に泣きつく三太。
それは、三太が初めて経験した、遅すぎる母のぬくもりだった。
食事を作ってくれて、お風呂を沸かしてくれて、
寝る支度をしてくれて、全部やってくれるお母さん。
三太にとってはすべてが初めての体験であり、
どうにも申し訳なく思ってしまう。
その夜。お母さんは三太を自分の寝室に呼び、
我が子を抱きしめて言った。
「三太。今夜はお母さんと一緒に寝ましょう。
朝までずっと抱きしめていてあげる。
三太は大変な思いを沢山してきたせいで、
早く大人になりすぎてしまっているわ。
今からでも遅くはない。お母さんにうんと甘えて欲しいの。ね?」
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