見つけたら必ず読んでいる記憶喪失物ですが、このお話は殺人未遂によって齎された記憶の喪失でした。怖い怖い
ヒーロードルーの一途さに惹かれたのだけれど、物語の展開には 両者の苦悩が薄くて淡々と進展し のめり込むことが出来なかった。サマンサを間に
おいて ドルーとヒロインメアリーとのやり取りを 第三者として眺めているようだった。もちろん冒頭に書いたようにドルーの一途さや 可愛いサマンサの「ママリー」という呼称の愛らしさには その気持ちが汲み取れて良いものだったと感じている。アルドも懐の広い男性でジーンとさせられた。けれども感情を盛り上げる場面が不足していて不満が残る。秘書を思い出しても夫は思い出せない残念さや、突き落とされた恐怖や、娘を思い出した感激と、色々あるはずなのに薄いと感じてしまう。エピローグでは行方不明のドルーが帰ってきていたというのも 酷い と感じてしまった。記憶が戻り自分の足で意思で帰ってきてほしかったとするのなら、せめて待っているよと無事を知らせる手紙なり メールなりで 望む未来の希望を見せてほしかったと思う。だって、怖い思いをして記憶喪失になり その記憶が蘇るという辛い思いに また拍車をかけるようなこの振る舞いには「愛」に疑問を感じるとともに落胆さえ感じてしまいますもの。
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