読み耽ってる時ではないのに、最後まで一気読みした。予定外にポイント追加購入してまで(パック売りで)。
BLなので狭い読者層のジャンルだが、私は、よく描けているなと脱帽しきり。桂木の内面の変化の描写、二人の関係の進行が、頁追って(時間経過)
クッキリ着実。撥ね付けた手が触れに行く手に、手を伸ばし自ら望む。一方的関係から双方向関係に。如実。
爵位のこと、時代色に深み。日頃読んでるハーレクインはこういう視点が無くてお飾りっ気強い。家の存続問題絡みも稀にあるのだが。
人目を憚る場面が各巻に入るので、見応えある漫画なのに外で読めない。
試験勉強中なのに読破。作品の魅力に抗えなかった。かなり満足。
ただ、華族子弟の学校が金まみれ設定は嫌だった。そこは残念。久世家の設定上のこととは思っても、心情的に抵抗感有り。
しかし旧領主としての責任感、身分制度の否定とは対極の部分は入っているのは良かった。
暁人帰国後の桂木の職の描写不明瞭。二人が並んで歩く絵は、暁人の望み通りで最終場面にふさわしいけれども、このときの桂木の職は?、という疑問一杯。遠恋の背景だったのに。
3巻目に回想に出てくる暁人お出迎えシーン(仕切る姿。「楽しそう」に変わる)と最終巻の直矢お出迎えシーンとの鮮やかな対比が良い。
桂木智之がずっと痛々しくてならなかった。結末にほっとした。
いつから好きになったなんてこと、関係ないなとつくづく思う。人は、いつから好きになったなんて、明確な発端の無い、気づいたらもう引き返せないほど気持ちが高まっていたなんてこと、普通にある。始まりの描写のないことを気にする (本作ではない)読者を見かけるが、きっかけのあるのもないのも、どちらもあること。読んでいて、それを今回はとりわけ強く思った。
基本BLジャンルのレビューはしない方針だが、一気通貫で読み終えて、レビューアーに加わりたくなった。
人物配置の微調整をチラチラ感じるのが長編の難しさなのかなと思う。不自然さはないものの、読み直すと個々の人物のキャラに敢えて強い立ち位置を与えず、さりとて全体として雰囲気を変えず、で、細切れ見せの効果に騙された感は残る。断片でも会話内に微妙な軌道修正不整合感が残るといったらいいのか。。
絵は素晴らしい。圧倒的な画力で空気を支配してるみたいだ。そして美しい。結構細部まで眺めすがめつで作品を堪能した。
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