たくましい女子高生牧野つくしの不屈の雑草魂を、いびりにめげず、格差に怖じけず、妨害をくぐり抜けることで描く。司との蛇行気味ラブストーリー。あり得ない暴行や未遂で、壮絶で過酷な試練(本作嫌われポイントでもある)続発。イベントがちょいちょい金額
レベル高い。もうギャグの域のその破天荒ぶりを、命軽視と怒ったり嘆いたり、醒めて読んでしまうと、楽しみきれない。次々起きることをこの当事者達の世界ではの1エピソードと割切ると、船、飛行機、パーティー、屋敷、使用人、車が、絵空事にしては絵空事なりの舞台装置の力業で丸め込められる。各運転手は24時間お疲れ様。
司の台詞に純粋な直球があって不意に打たれてしまう。こんな凶暴な猛獣が本当に同じ学校に居たら地獄の筈だが(私の小学校にはミニ版が居た)、そのド直球はつくしに効果的に差し込んで、彼女はほだされるが如く、なんと彼に落ちてしまう。司のつくしへの積極攻勢は読んでいるこちらにも妙にアピール、キャラの強烈設定が余計ストーリーを回す。
私には共感しにくい思考回路がキャラ達に多いのだが、なぜか突飛さ集合的に収まっており、巻数進むほど荒唐無稽を晒す危険は増すはずなのに、不思議と不自然に思えなくなる。
全37巻の大長編、よくもそんなに連載をもたせたものだ。1992年-2004年。どれ程の大人気作だったかを示している。ありきたりの無さぶりに振り回されて。初めと終わりで絵柄が大きく変貌を遂げたにも関わらず、この作り物空間に飛べる。が、長さで話がダラけ、面白味は低下した。ソックリさん登場は手垢付いた手法で不味。
よく少女漫画では、キャラが、好きな人物に一途でない恋物語を、不快に思う様な、潔癖な読者を見かけるが、つくしにとっての類のポジション設定が、私には寧ろ評価点。つくしの揺らぎが特色。読者に阿ない作家性を感じる。
憎めないキャラにしているが、牧野家家族が余りに狂言回しに置かれていることが、私にはあざとく映る。必ずしもいい親であることを求めるものではないが、家族が筋をかなり動かす中で、話作りの為の逆境装置臭強く、仕掛け方に難点を感じる。
少女漫画あるあるの、出てくる男の子出てくる男の子次々とつくしを気に入る。大長編だから白けてしまう。
星は4と迷いながらのギリ4.5 で大甘5星。
冷静な時に読んだら4に変えるかもしれない。
(ドラマ未視聴だが福島ブリヒルへは何度か行った。)
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