王子にとり、相手が王子だからとヒロインの様に二人でいる所を他人に知られたくないのと、その反対に、相手が王子だからこそ結婚相手の座を狙う「令嬢」たちが側に居ることを利用するのとは、どちらも同じことだと言う。
この言い分には「!」だった。
ヒロインは天才、出自が問われるのは、親の身元がわからずに何が背景にあるのか、という不安感も大きいと思うが、ヒロインのケースはそこは調査すれば出てくる。
王家に優秀な血が入ることはむしろ喜ばしい。
こういう母親みたいな人はどこにでもいて、典型的な点で、スッキリした構造のストーリーなのだが、その最大の抵抗勢力が、彼の言葉から「折れたよ」と聞かされて、ヒロインはすぐハイと受け止められるものなのか?
最後の台詞で王国を離れてきたのに?
探しに来てくれた、迎えに来てくれた、申し込んでくれた、要素は全て揃えて結末に至るので、終わりよければ、ではあるが、少々わだかまる。
写真を思わせるような、「絵」らしくない風景の描写、手の込んだ描き込みで、細部まで壮麗さに目を奪われる宮殿内部の描写などが、ハーレクインの王子ものとしては、人物コマ以外は大いに眺めて楽しめた。
人物はその圧倒されるバックとは対照的に、ダンスシーンなどに、よりダンスらしさが欲しかったと思う。物語後半からの、集中的な国王夫妻の登場も、敵役を出すために設けられているみたいに唐突感を覚えた。
重要な握手のシーン。ドラマ的にヒロインのリブの感情に訴える行為でありながら、一度目は普通の描写、二度目に至ってはクライマックスにも拘らず、なんとなく軽いひとコマなのが残念な気持ちがした。
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