世界をまたにかけた、たった一人の殺し屋物語である。一度契約をすればその契約者を裏切ることは無い。金とゴルゴ13との間での正義なのだ。また各巻に繰り広げられる殺戮もパターンは似ているものの、味わいへの工夫は脱帽せざる得ない。ただゴルゴ13の顔
や姿もじょじょに歳をとったかと思うのは、長年の愛読からくるものであろう。ともあれ人には「性善説」や「性悪説」なるものがあろうが、自己保存の本能の充実を幸福とするならば、そのために邪魔になる者は排除の対象となろう。即ち「性悪説」である。その今の世相が反映されているところに、ゴルゴ13がガス抜きの役目を担ってくれている。しかし、利益率アップと採算性向上のための技術力の進歩によって、不幸になっていく人間達。この者達の増加はますますゴルゴ13の仕事を増やしていくのかもしれない。更に、今の刑法は、責任能力が無ければ極刑はない。加害者の責任能力の有無によって、被害者の周囲の者達の復讐心が薄められることはないのである。ゴルゴ13の仕事が増えないように被害者の立場にたった法改正も必要だろう。
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