虫が何回も大量に出てくる気色悪さと、オカルト?混ざりのダークファンタジー。
続き(クイーンズ・クオリティ)があるとは思わずに、試読みで手応えがあった為、三巻一括購入。幾つも例外はあるが、基本未完作品には手を出さないので、自分の調査不足が口
惜しい。これは引き摺り込まれてしまうか。
奇想天外な学園もの。樹なつみ先生の「八雲立つ」と系統が少しだけ近い。作風も異なるし、何より軽さや明るさの加減には共通項無し。
実質未完作品といえると思う本作は、それでも、続編が無かったとしても、一区切り付いている。続編をいつでも作られるように仕掛けが散りばめられて。
虫はさすがに私もゾワと来てしまった。絵は美しさより、親しみ易さがあるほう。
ただ、話の面白さは抜群。
余談だが、玄武だ白虎だという言葉が出てきただけなのに篠原千絵先生の「蒼(あお)の封印」が脳裏に浮かんで久々に読みたくなって来た。去年の池袋での原画展以来篠原先生の世界を見てない(+勿論読んでもない)ので。
脱線したが、本作に描かれている人物達の各人各様ぶりは良かった。絵が、ではなくて、一人一人成り立っている諸々が、だ。別に、プロフィールを裏設定で打ち出してきていなくても、含みを持たせた会話や行動、登場のさせ方が上手いと感じた。
文も玖太郎も、描線にざっくり感がある。また、学校の生徒達に年齢相応な気がしないことがある。
謎を全て片づけてないことに不満無い一方、町全体の特異設定は、いきなり前提化されて描写されていると、なんとなく唐突で強引さを感じる。物語が進み切ってからの後出しじゃんけん的なやり方は、気持ち良くお話し世界に自分が丸め込まれにくく、もう少し手前に匂わせて欲しかったようには思う。
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