もはやラーメンや餃子と同じくらい日本に浸透している三国志。その魅力は沢山のキャラクターが登場することや、視点となる人物によってまったく違う角度から解釈できるところ。新史料の発見で定説が覆され、今まで悪役だった人物にスポットライトが当たったり、逆に正義感にあふれたの英雄の隠れた一面が見つかったり……。さらには転生やタイムスリップなどの奇抜な設定も浸透し、バラエティ豊かな作品が生まれています。今回は、史実に忠実に追い、真正面から斬り込む正統派の作品から、転生やタイムスリップ設定のファンタジー作品、はたまた英雄たちをパロディ化したギャグ漫画まで、三国志を題材にした漫画から選りすぐりの27作品を紹介します。
目次
『三国志演義』に基づき劉備を主人公にした正統派から、新史料に基づいて典型的な悪役だったキャラクターの新たな一面を描く野心作まで。史実に忠実に、英雄たちのドラマに迫る三国志漫画9選です。
【あらすじ】 劉備は前漢の武帝の弟・中山靖王劉勝の末裔でありながら、わらじや筵(むしろ)を編んで生計を立てなければなならいほど落ちぶれていた。中国全土で暴れる黄巾賊の討伐隊募集の立て札を見ても、自分に自信のない劉備は力なくため息をつくばかり。劉備のふがいなさに腹を立てた肉屋の張飛は、自慢の武器・蛇矛(じゃぼこ)を手に劉備に襲いかかった。ところが、劉備は意外にも素早い身のこなしと、先祖伝来の剣を巧みにに扱い、張飛の矛を寄せ付けなかった。この一件で二人は友達に。一人で真正面から黄巾賊に挑む関羽に加勢したことで、三人は義兄弟の契りを交わすことになった。
【作品情報】 1巻から2巻の原作は『宮本武蔵』『新書太閤記』の吉川英治。3巻の原作は『それからの三国志』の内田重久。コミカライズは『仮面ライダー』や『サイボーグ009』の石森プロ。2020年に飛鳥新社から刊行され、2022年に3巻が配信されました。2021年は、石ノ森章太郎が生前に手がけた諸葛孔明の伝記漫画も『マンガ三国志X 諸葛孔明』として刊行されています。
【おすすめするポイント】 前半2巻は文豪吉川英治の『三国志』をベースに、3巻は内田重久の『それからの三国志』をベースに、石森プロが三国の興りから滅亡後までを全3巻で網羅しており、三国志の全体像を簡単に掴むことができます。難しい用語については欄外にわかりやすい解説が掲載されているため、事前知識なしで楽しめます。主人公の劉備三義兄弟や孔明、曹操のエピソードだけでなく、個性的な脇役キャラの顛末(てんまつ)もしっかり紹介されています。巻末の渡邉義浩先生の解説を読むと、さらに興味が広がります。
【あらすじ】 後漢末期の中国のとある村では、病気持ちの姉妹が「妻に娶(めと)ってもらいたい」と言い、路上に座っていた。夫になろうと申し出たのは聡明な少年・孔明と、わらじ売りの玄徳だった。実は姉妹は竜王の娘たちで、200年に一度初精の男子と交わり、若返っていた。交わった男子は望みのものを手に入れることができるという。姉と交わった孔明は知恵を望み、登竜門へ行き、知恵を明かした本をすべて読むことをすすめられた。玄徳は妹と交わろとしたが、妹は5年前に、天下が欲しいという曹操の初精をすでにもらい受けていた。勇気が欲しい玄徳は、妖怪・呑邪鬼(どんじゃき)の肝を喰らうことをすすめられたが、呑邪鬼は大男だった。
【作品情報】 作者は『サラリーマン金太郎』『男樹』『俺の空』の本宮ひろし。1983年から集英社「週刊少年ジャンプ」に連載され、1984年に全4巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 『俺の空』『サラリーマン金太郎』の本宮ひろ志が、三国志を大胆にアレンジ。本来、劉備と孔明には年齢差があるはずなのに、本作では冒頭から一緒に登場したり、桃園の誓いが「がれきの誓い」になったり、細かいことは言いっこなし。男気のある英雄たちが大暴れし、本宮ファンお馴染みの展開にスカッとします。時代背景のややこしい部分は全部省略してあるため、歴史な苦手な方でも完読することができます。
【あらすじ】 後漢末期、腐敗する世の中に嫌気が差した青年・孟徳は放蕩三昧に明け暮れていた。皇帝を影で操り、利権を貪っている宦官を孟徳は一人で襲撃し、金を奪って逃走した。実は孟徳の父は宦官の養子。孟徳も宦官の権力のおかげで甘い汁を吸う一人だった。自らの在り方に矛盾を感じながら地方役人となった孟徳は、窃盗や殺人、恐喝といった凶悪犯を容赦なく取り締まった。 やがて中国全土で暴れ回る黄巾賊の討伐に派遣され、そこで劉備・関羽・張飛の三義兄弟と初対面する。
【作品情報】 作者は『女媧 JOKER』『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』の大西巷一 。メディアファクトリー「三国志マガジン」にて2005年から連載され、2006年に全3巻で完結済みです。残念ながら未完ですが、単行本未収録の9・10話(最終話)と読み切り1編が4巻としてまとめられ、「マンガ図書館Z」で無料公開されています。
【おすすめするポイント】 三国志のラスボス的存在である曹操を主役に据え、三国時代を捉え直した作品。曹操を曲がったことが大嫌いな熱血漢として描いています。次に紹介する『蒼天航路』と同じ題材でありながら、違う角度から曹操の魅力が引き出されています。『蒼天航路』と比較しながら読むと、面白さが倍増します。
【あらすじ】 西暦195年頃の洛陽。阿瞞(あまん)、のちの曹操孟徳は、宦官である義理の祖父からも期待されている将来有望な若者だった。ある日、阿瞞は祖父から父に送る大切な書類を町のならず者に奪われてしまった。阿瞞は容赦なくならず者を成敗し、首を刎(は)ね、書類を奪い返す。人々は、大義のためなら残虐な行為を厭(いと)わない阿瞞の姿を見て怖れた。それでも、阿瞞の強さに惹かれた町の不良少年と若い女性がすぐに群がってくる。やがて金泥棒退治の一件で、巨漢で怪力の持ち主、許褚(きょちょ)が家来に加わった。
【作品情報】 原作は『三夢伝』『武と魂』の原作担当で映画監督でもあった李學仁。作画は王欣太で、講談社「モーニング」にて1994年から2005年まで連載され、全36巻で完結しています。1998年に原作の李學仁が逝去してからは、王欣太がストーリーも担当しました。2009年にはテレビアニメ化されています。
【おすすめするポイント】 三国志演義では悪役の曹操を主人公に据え、曹操側から三国志を捉え直した野心作です。曹操を、善悪を超え、この世の欲望を全部呑み込んだスケールの大きな人間として描きました。劉備や孔明びいきの方も、裏・三国志として、新たな視点で三国時代を見直すことができます。いつしか曹操の魅力のとりこになるかもしれません。同じ題材の『曹操孟徳正伝』と読み比べても面白いです。
【あらすじ】 卑弥呼によって統一された邪馬台国の使者・燎宇(りょうう)は、卑弥呼と別れて、大陸の覇権を握るため単身中国に渡った。そのころの中国は、後漢が腐敗し、黄巾賊が国中で暴れ回っていた。燎宇は黄巾賊討伐に集まった劉備・関羽・張飛の三義兄弟と遭遇し、行動を共にする。しかし、劉備の素顔は、義兄弟もを恐怖で支配する悪逆非道な男だった。燎宇は迷わず劉備の首を刎(は)ね、劉備になりすまして関羽、張飛と共に桃園で義兄弟の契りをかわした。大陸に渡った日本人は中国で天下を取ることができるのか?
【作品情報】 原作は『北斗の拳』『王狼伝』の武論尊。作画は『トリリオンゲーム』『サンクチュアリ』の池上遼一。小学館「ビッグコミックスペリオール」にて2004年から連載され、2011年に全22巻で完結しています。続編『SOUL 覇 第2章』は2011年から2013にかけて連載され、全3巻で完結しています。武論尊×池上遼一のコンビ作はほかに『HEATー灼熱ー』『strain』があります。
【おすすめするポイント】 二人の巨匠・武論尊と池上遼一がタッグを組んだ異色の三国志物語。中国に渡った日本人が劉備になりすまして蜀王となる意外な設定で、冒頭から一気に引き込まれます。読者は燎宇と一緒になって、三国志の戦いの中に入り込んだ気分になれます。「国を担う者は、欲を捨て俗を捨て、時に慈しみの神、時に鬼にならねばならない」という燎宇が掲げる理想を、戦乱に荒れ果てた時代に実現できるのか? 胸躍る物語が展開します。
【あらすじ】 黄巾賊の討伐隊に焼かれた徐州陽都を、幼い妹を背負って逃げる孔明少年は、討伐隊の隊長・曹操に出会う。父を徐州の役人に殺された曹操は、復讐のために陽都の人民の皆殺しにしようとしていた。7年後、戦火を逃れて荊州に住む孔明は、大根を育てて売りながら、弟妹を育てていた。水鏡先生の門下生の中でも優秀な孔明に仕官の道はいくらでもあったが、戦争に巻き込まれるのを嫌って、農業に励んでいたのだ。 自分に農業を教えてくれた棗紙は、農業を指導するために曹操が興した魏に渡っていた。しかし、急激に農業が発達し、農民が独自に田畑を開墾したために税収は悪化。その原因を作った棗紙は曹操の一派に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまった。
【作品情報】 作者は『玄奘西域記』『うつほ草紙』『あっちゃんとリカの日誌』の諏訪緑。小学館「プチフラワー」に1999年から連載され、その後「flowewrs」に移籍し、2007年に全14巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 諸葛孔明が、戦争孤児になった体験から、平和と自由を求める人物として描かれています。平和主義者の穏やかな孔明像が斬新。その対局として、世界に秩序をもたらすためには犠牲を厭(いと)わない冷酷な支配者として、曹操が孔明の前に立ち塞がります。国の統治を重視する曹操の思想に半ば共感しながら、孔明は自分の理想を実現するために、劉備軍の軍師として活動し、曹操との宿命の対決に向かっていきます。
【あらすじ】 孔明は同世代の子と遊ばず、本ばかり読み、何かしらの実験ばかりしている不思議な少年だった。ある日、日頃から孔明をいじめる薪屋の息子に薪を売るのを拒否された。姉が蹴飛ばされても、孔明は薪屋の息子に反撃できず、土下座して薪を譲ってもらうしかない。その結果、ただ働きで薪集めを手伝うことになった。その後、薪屋に火事が起こった。これは仕事帰りに孔明が仕掛けた細工によるものだった。日頃から策を張り巡らせるのを嫌う孔明の叔父は「正しき策なら結構」だと言う。これが策略家孔明が覚醒した瞬間だった。
【作品情報】 原作は『後宮小説』『墨攻』『陋巷に在り』の酒見賢一の同名小説。コミカライズは『王者の遊戯』『暗殺後宮~暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい~』『クナイ伝』の緒里たばさ。2017年から小学館「月刊!スピリッツ」に連載され、2019年に全3巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 ほかの三国志漫画ではクールで完璧なイメージの孔明を、「本当は気弱な人だったのでは?」という仮説から描く異色の作品。気弱で変人ながらも、希代の策士であったあったことは間違いないようです。普段はダメダメな孔明でも、ここぞというときにきちんと結果を出す姿が、一周回ってやっぱり格好良い。新しい孔明像を生み出した貴重な一作です。
【あらすじ】 黄忠は70歳に近い高齢だが、現役の武者だった。力が強く、二人張りの弓を使い、百歩先の柳の葉を撃ち抜けば百発百中だった。黄忠は魏の攻撃からの救援要請に真っ先に名乗りをあげ、劉備に将軍の一人に任命された。黄忠の集めた兵士は自分と同じ高齢者ばかりで子龍は心配するが、黄忠にはある意図があった。それを黄忠は「岩」となるためというのだが……。敵将の夏侯淵を倒すと、その息子・栄は父の仇だと黄忠に向かってきた。ところが、黄忠は栄を一刀のもとに斬り捨てた。黄忠が思い出すのは我が子・長休が初陣の際に流れ矢に当たり、無駄死にした場面だった。黄忠は若い兵士を死なせたくない思いから、老兵士ばかりで戦場に赴いたのだった。
【作品情報】 作者は『都合のいい果て』『怪・力・乱・神クワン』『夜刀の神つかい』の志水アキ。メディアファクトリー「コミック三国志マガジン」に掲載された読み切り漫画の連作集で、三国志に登場した五人の男の物語です。
【おすすめするポイント】 三国志には多数のキャラクターが登場しますが、成果を残した英雄ばかりではありません。自らの性格が災いして破滅した者、敵方に寝返ってかつての上官の首を刎(は)ねる者。善悪を抜きにして、それぞれの人生の顛末(てんまつ)を描いていきます。五人の主人公それぞれのエピソードが心に染みる短編集です。
【あらすじ】衰退した後漢に、暴徒と化した黄巾賊。わらじ売りの傍ら、子どもたちに読み書きを教えて慕われている劉備がいる桜桑村にも黄巾賊が現れた。黄巾賊から村人を救うために、劉備は自分の首を差し出した。そこへ力自慢の猪肉(ぶたにく)売りの張飛が現れて大暴れし、一人で黄巾賊を一掃した。黄巾賊のせいで一家離散した家族を見て、劉備は無力な自分を嘆いた。やがて黄巾賊討伐の義勇軍募集の貼り紙が出されても、劉備は参加する自信がない。張飛は意気地なしの劉備を殴り倒すが、劉備を慕う村人達は彼を守った。劉備には人々に慕われるという、誰にもない強みがあったのだ。
【作品情報】 原作は『雷火』『テニスボーイ』『競艇少女』の寺島優。作画は『孔子と論語』の李志清。KADOKAWA「MFコミックス フラッパーシリーズから刊行され、14巻で完結。続編の『三国志 完結編』も全3巻で配信中です。
【おすすめするポイント】 キャラクターが定型化している三国志ですが、英雄たちのキャラクターに具体的な肉付けがあり、三義兄弟をはじめ、それぞれのキャラクターの人となりがイキイキと描写されていて、より親しみが湧きます。劉備は知性もあり人徳者でもあるけれど、非力で自信がない人物として登場。張飛や関羽の励ましと、劉備を慕う民が集い、さらには劉備に資金援助する商人も現れ、リーダーとして少しずつ成長します。人間ドラマとしての三国志を読みたい方におすすめの作品です。
ここからは、三国志をベースとしながら、大胆にアレンジした作品をご紹介。近寄りがたい偉大な英雄も、コメディテイストの味つけでグッと親しみやすくなりました。三国志の偉人をモチーフにしたコメディ作品漫画5作品です。堅苦しい歴史ものが苦手な方は、まずはこちらから手に取ってはいかがでしょう?
【あらすじ】蜀を興した劉備に仕えた軍師・孔明の命も今や力尽きようとしていた。孔明は、次の人生は平和の世界に生まれ変わりたいと願った……。その後再び目を覚ました孔明が地獄だと思ったその場所は、なんと現代の渋谷だった。ハロウィーンのその夜、孔明は現代日本に転生していたのである。孔明はクラブで歌う月見英子の歌声に惚れ、英子の軍師となって彼女をメジャーの舞台に立たせることを心に誓った。まずその手始めとして、軍資金を集めるために英子のバイト先のクラブのバイトの面接に行くことに。
【作品情報】 原作は『転生大聖女の異世界のんびり紀行』『魔法空艇の案内係』『異世界で聖女になった私、現実世界でも聖女チートで完全勝利!』の四葉タト。作画『赤橙』『私人警察』の小川亮。講談社「コミックDAYS」に2019年から連載され、2024年8月時点で18巻が配信中です。2022年にはテレビアニメ化、2023年にはテレビドラマ化されました。
【おすすめするポイント】 三国志の英雄中の英雄・諸葛孔明がなぜか現代の渋谷に転生します。渋谷のクラブと孔明、これほどチグハグなものはないと言えるほどの奇跡のコラボレーション。偶然耳にした月見英子の歌声に惚れたことをきっかけに、前世で培った兵法を駆使して英子をプロデュース。英子の逆境を、深謀遠慮をめぐらせて壁を突破していきます。孔明の軍略によって、英子は表舞台に立つことができるのか?期待がかかります。
【あらすじ】後漢末期、黄巾賊が虐殺と強奪を繰り返し、天下は乱れていた。漢の皇帝・霊帝は無能で、宦官たちの「世は太平である」という言葉を信じ、毎夜美女を侍らせて遊びに興じていた。劉備は母から自分は漢の皇帝の子孫であるという話を聞き、天下をとる野望を抱いた。一方、ボディビルに力を入れる張飛は、兄貴分の関羽から黄巾賊征伐隊に誘われる。劉備の恋人・蓉は関羽と張飛をそそのかし、義兄弟の契りを交わさせた。三人は力を合わせて黄巾賊を追い詰めるが、肝心の首領・張角の首は曹操がかっさらっていった。思ったような恩賞は受けられず、劉備たちは片田舎の下っ端役人に甘んじていた。
【作品情報】 作者は『ぎゅわんぶらあ自己中心派』『スーパーヅガン』『打姫オバカミーコ』の片山まさゆき。1992年講談社「ヤングマガジン増刊海賊版」、「ヤングマガジン増刊赤BUTA」にて連載され、全5巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 一つひとつのエピソードにナンセンスギャグが満載。その分、ストーリーや背景がシンプルなだけに、わかりやすく三国志の全体像を掴めます。字がびっしりの本が苦手な方にピッタリの三国志入門書です。笑いながら三国志を味わえます。
【あらすじ】勇猛な武将だった父・孫堅が亡くなったあとは、父の才能を受け継いだ兄・孫策に付き従っていた孫権。ところが、孫策が戦の怪我のため瀕死となり、思いがけず家督を継ぐはめになってしまった。戦の才能がない孫権は部下を率いる自信がない。しかし、一旦酒を飲むと記憶を無くすほどの酒乱。酒の席では部下に勇ましい言葉をかけているようで、酒席の翌朝には孫権を慕う部下が増えていた。孫権は自分の器が小さい分、優秀な人材の収集に力を注ぐことにした。
【作品情報】 作者は『アホリズム 』シリーズの宮条カルナ。2010年からスクウェア・エニックス「ガンガン戦-IXA-」と「ガンガンONLINE」で同時更新され、2013年10月時点で1巻が発売中です。
【おすすめするポイント】 魏呉蜀三国の中でも一番存在感が薄い呉を興した孫権の物語。劉備や曹操と比べて戦場での実戦経験も乏しく、酒癖が悪いなど欠点も多かった孫権が一国の主になれたのは、自分より優れた人材を活用したからこそ。周瑜や魯粛を従えて、曹操の大軍を迎え撃つ「赤壁の戦い」がいよいよスタートします。
【あらすじ】白井恵美子が三国志の有名なエピソードを4コマ漫画で料理。伝説の英雄たちも、結局は私たちと同じ人間。ずっこけのパロディによって、より鮮明に三国志の個々のエピソードを印象づけるギャグ漫画。
【作品情報】 作者は『黒の李氷・夜話 』『その日仙境に龍はおちて』の白井恵美子。1987年にマガジン・マガジン「小説JUNE」で連載がスタートし、全1巻で完結。その後、潮出版社「月刊コミックトムプラス」にて「白井式プチ三国志 GOGO玄徳くん!!」、2005年メディアファクトリー「コミック三国志マガジン」など、連載媒体とタイトルを変更して、連載を継続している三国志パロディ4コマ漫画です。現在は『白井色全開!笑史・三国志 STOP劉備くん!リターンズ』が休載中です。
【おすすめするポイント】 三国志好きにはたまらない、三国志を知らない人でも楽しめるパロディ満載の三国志漫画です。王道の三国志漫画の箸休めにどうぞ。シリーズのどの巻から読んでも楽しめる内容になっています。時事ネタと絡めたエピソードも多く、エピソードによってどの年代に描かれたがわかる生きた現代史にもなっています。
【あらすじ】魏の国の名門・司馬家の次男の仲達は、会計係として宮廷に出仕していた。仲達の優秀さに目をつけた曹操はブレーンになるように誘ったが、仲達は病気だと言って断った。しかし、曹操の脅迫によって曹操の文書官としてしぶしぶ働かざるを得なくなる。やがて水面化で行われてる長男・曹丕と弟・曹植による曹操の後継者争いに、いやいやながら巻き込まれていく。
【作品情報】 作者は『アレ国史』シリーズ『~サラリーマン三国志~三国社』の末広。講談社「イブニング」に2010年から2013年まで連載され、全5巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 「死せる孔明 生ける仲達を走らす」の故事で有名な司馬懿仲達(しばいちゅうたつ)。軍師・孔明の晩年のライバルであり、最終的には魏呉蜀の三国時代を終わらせ、晋の礎を築いた、いわば三国時代の最終勝者。今まで魏を乗っ取った悪人扱いされてきた仲達に光を当てた意欲作。 仲達の出世物語をギャグ仕立てで描きます。歴史に名を残す偉人でも、ダメダメな日々があったことがわかり、生きる勇気をもらえる物語です。
【あらすじ】魏王・曹操は詩人としても知られているが、25人いる曹操の息子の中でも、特に詩の才能を受け継いだのが曹植だった。剣術が苦手で、女性にも奥手。武闘派の兄・曹丕から剣術を習うように強制されても、からっきし。女性に慣れるために女性を近づけても逃げ出す始末。曹丕の妻・甄(しん)が話相手になった。しかし、甄は敵将の妻だったものの、戦の時に曹丕にぶんどられ、そのまま妻とされたという暗い事情があった。運命に流されながらも飄々と生きる甄。曹植は甄の折れない強さに感銘を受け、女性を知るのはまだまだ先だと悟った。
【作品情報】 作者は『薬屋のひとりごと』のコミカライズを担当したねこクラゲ。2010年からスクウェア・エニックス「ガンガン戦-IXA-」に連載され、2012年に全2巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 曹植を中心に、曹操の25人の息子たちについて1ページから数ページ単位の短いエピソードでまとめた作品。『薬屋のひとりごと』のコミカライズを担当したねこクラゲらしく、曹植はじめ、なぜか息子たちの大半が女の子のようにかわいらしく描かれています。知られざる曹操の息子たちの人となりがわかる漫画です。戦争や争い事はほとんんどなく、平穏な日常が淡々と流れて行く平和な内容で、バトルが苦手な方にもオススメです。
陰陽道の発祥の地・中国では、タイムスリップしたり、はたまた性別が変わったり、摩訶不思議なことがたくさん発生。英雄たちがなんでもありで大暴れするファンタジーバトル三国志漫画5選です。
【あらすじ】呉の武将・孫策の魂を受け継いだ女子高生・孫策伯符(そんさくはくふ)は長年母の指導の下に行った修行の末に、人並み外れた身体能力を身につけていた。しかし、母の言いつけで学校では喧嘩を禁止され、茶道部に所属してその力を隠している。そんなある日、東京の揚州学園の樊能(はんのう)が現れ、闘士として伯符をスカウトした。中国の三国時代の英雄たちの魂を封じた勾玉を持つ者は闘士と呼ばれ、闘う運命にあるのだという。伯符は東京へ行き、天下を取るように母から命じられた。
【作品情報】 作者は『バトルクラブ』『ガッデス~女神の血脈~』の塩崎雄二。ワニブックス「コミックガム」にて2000年から連載され、2015年7月末からはWEB ComicGUMに連載を移し、全24巻で完結しています。2016年からは少年画報社「ヤングキングアワーズ」にて『真・一騎当千』が連載開始、2024年からは「ヤングキングBULL」に移籍し、2023年9月時点で5巻が配信中です。テレビアニメは2003年からOVAを含め第7期まで放送されています。
【おすすめするポイント】 三国時代の英雄の魂を宿した戦士が、格闘バトルを展開する物語。主人公の所属する南陽学園は呉の英雄の魂を宿し、やがて成都学園は劉備の魏、許昌学院は曹操の蜀と、三国もとい三校による三つ巴の戦いが始まります。主人公の孫策伯符をはじめ、武将の多くは女性に転生しているため、バトルのたびに服が破けたり、パンチラしたり、セクシーシーンも満載で楽しめます。
【あらすじ】後漢末期、各地を放浪する男・智恵は、祠のお供え物を食べた罪で村人から拷問を受け、大木に括られてしまう。その夜、智恵を喰らいに、人面に虎の体の妖怪「馬腹」が現れる。そこに現れたのが、謎の少年クワン。クワンはとっくりを巨大な武器に変えて馬腹を退治し、食べてしまった。妖怪を退治し褒賞をもらった智恵は、クワンと旅を続けることになる。クワンは旅の中でで知り合った女性・著莪(しゃが)から「大平清領書」を探せと告げられた。
【作品情報】 作者は『都合のいい果て』『百器徒然袋』『夜刀の神つかい』の志水アキ。メディアファクトリー「コミックフラッパー」で2002年から2008年まで連載され、全7巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 日本の文化とは異なる、独特の妖術や妖怪が新鮮です。やがて、クワンが探す「大平清領書」を巡って少年・阿瞞(あまん)のちの曹操も参戦。クワンが常に連れているマスコット・帝江の正体とは? 三国志の以前の後漢末期の様子がよくわかる、奇想天外の中華伝奇ロマンです。
【あらすじ】黄巾の乱が起こって荒廃した後漢。軍師を目指す郭嘉(かくか)は、遠い親戚を頼って河北の都に行き、仕官の口を探していた。そこでは後漢の武将・袁紹が実戦さながらの軍事演習を行っていた。演習のすべてを見渡せる楼閣の上には数人の少年たちがいる。彼らこそ、特殊能力を得るために成長を捨てた軍師だった。軍師は、これはと見込んだ将軍と「刎頸(ふんけい)の交わり」という儀式を行い、相棒となって戦場を共にする。演習で知り合った青年・蘭は、のちに劉備軍の将軍となる趙雲だった。郭嘉と蘭は一時的に刎頸の交わりを結び、相棒となる。
【作品情報】 作者は『暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜』『泣き虫弱虫諸葛孔明』の緒里たばさ。新潮社「月刊コミック@バンチ」に2012年から連載され、2015年に全6巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 軍師を、少年の姿でいることで特殊能力得る存在と設定し、能力バトルを展開。軍師が能力を司り、実際の戦いの指揮は将軍が行うことがポイントで、二人一組のバディものになっています。三国志の知識がなくても、郭嘉をはじめとする軍師の能力バトルとして楽しめます。
【あらすじ】宦官が幼い皇帝をコントロールする後漢末期時代。黄巾賊を率いる張家の三兄弟は、仙人からもらった巻物「太平要術」を使い、これから生まれてくる英雄たちを女性にする術をかけた。しかし、術は失敗し、三兄弟が女子になっただけでなく、関羽や張飛など英雄たちも女性として生まれてしまった。黄巾賊討伐の義勇兵が募集されても、女性である関羽たちは志願できない。関羽と張飛は一介の筵(むしろ)売りである劉備を漢王室の血を継ぐ者と知り、三兄妹の契りを交わして黄巾族討伐に挑む。
【作品情報】 作者は『転生貴族の異世界冒険録』『黒田さんと片桐さん』『しゅたいんず・げーと!』のnini。2002年から2007年までマッグガーデン「コミックブレイドMASAMUNE」で連載され、その後「月刊コミックブレイド」に移籍し、2008年に全6巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 太平要術の呪いによって、三国志の英雄の大半が女性になったという設定。男臭い戦争が続くはずの三国志の舞台に女性が入ることで、華やかになりました。それ以外は忠実に三国志のストーリーをなぞっているため、むさ苦しい男子やハードなバイオレンスが苦手な方でも楽しめる三国志漫画です。
【あらすじ】本編『終末のワルキューレ』にて行われた神と人類それぞれの代表によるバトルの第1回戦で神・トールと戦った呂布奉先が生きていた時代に残した最強エピソードを紹介するスピンオフ作品。自らを皇帝と名乗る袁術が率いる大軍3万が、劉備軍2千がいる城に迫っていた。絶体絶命のピンチに焦る部下の陳宮だったが、呂布は兵士はいらないという。自分一人で3万人の兵の相手をするというのだ。呂布が現れると敵陣が真っ二つに割れ道ができた。呂布は袁術軍の大将・紀霊と対峙。紀霊は呂布に対し、遠く離れた場所から中国の兵器・戟(げき)を弓で射貫いてみせよという。呂布は巨大な旗竿を槍投げのように放り、見事一撃で戟を破壊。呂布の投げた旗竿の先端は地面に突き刺さり、旗が風になびいていた。
【作品情報】 梅村真也原作、フクイタクミ構成、アジチカ作画の『終末のワルキューレ』のスピンオフ作。作画は『公血の組曲』『ノライヌ~濱の狂犬~』のオノタケオ。コアミックス「月刊コミックゼノン」に2019年から2022年まで連載され、全7巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 呂布の飛び抜けた強さについてのエピソードは、虚実はさておき、突出しています。神との戦う人間として、三国志からただ一人、人類側の代表に選ばれただけあります。呂布のファンになってから三国志全体に興味を広げるもよし。呂布から『終末のワルキューレ』に登場する神や偉人に興味を持ち、歴史の知識の幅を広げるもよし。歴史がより好きになるきっかけになる一作です。
恋愛モードの三国志では、通常はひげ面で男臭い武将たちが、なぜかツルッとした爽やかイケメンに変身しており、ヒロインじゃなくても好きになっちゃいます。英雄たちとの恋に胸をときめかせるラブストーリー三国志漫画4選です。
【あらすじ】女子高生の花は、グループ課題のテーマである「三国志」について調べるために図書室にいた。花は手に取った本に記載された性格占いで自分を軍師タイプと判定。その三国志の本の巻末には人型の駒が付属しており、地図に乗せて戦場のシミュレーションをすることができた。少し遊んでみると、突然本から光が放たれ、花は三国志時代にタイムスリップ。そこで孔明の声に導かれて、現れる人を待つと、現れたのはのちに蜀の王となる劉備とその兄弟分だった。花は孔明の代理として、曹操軍を迎え撃つ劉備軍の軍師を任された。戦の知識ゼロの花だったが、本の中の戦場に駒を乗せると、たちまち映像が浮かび、戦略を立てることができた。
【作品情報】 原作はDaisy2が制作した同名の乙女大河ドラマティックゲーム。コミカライズは『婚約者の浮気現場を見ちゃったので始まりの鐘が鳴りました』『マーヴェラス・キス』のあず真矢。2011年からマックガーデン「月刊コミックアヴァルス」に連載され、2014年に5巻で完結しています。シリーズとして『三国恋戦記~籠中の鳥~』『三国恋戦記~江東の花嫁~』『三国恋戦記~とこしえの華墨~』が配信中です。
【おすすめするポイント】 現代の女子高生が劉備たちの軍師になるという、乙女版「龍狼伝」ともいうべき作品。一つ違うのは、人気乙女ゲームのコミカライズだけに、劉備や曹操をはじめ、武将たちがみんな爽やかイケメンだというところです。やがて曹操とも出会い、劉備軍と曹操軍の中で揺れ動いていきます。平和を望む花が選ぶのは劉備か曹操か? それとも?漫画独自の結末に最終巻まで目が離せません。
【あらすじ】 時は後漢末。腐敗した漢帝国に弓引く黄巾賊を討伐するために、劉備・関羽・張飛の三義兄弟が立ち上がるというお馴染みの設定。しかし劉備たちは頭に猫耳が生えた猫(まお)族で、十二支から外れた十三支(じゅうさんぎ)として、人より劣った存在として差別されている。猫族の長の女性・劉備は精神的に幼く、猫族最強を誇る少女・関羽が実質的なリーダーとしてチームを率いていた。黄巾賊の討伐隊に入っても、猫族は異民族として隊の仲間から差別を受ける。黄巾賊の首領・頂角は実は猫族で、自分たちを差別する人間に反旗を翻していた。関羽は実は人間とのハーフで、純粋な猫族でないことに悩んでいる。
【作品情報】 原作は女性向けゲームブランド「オトメイト」にて『薄桜鬼 〜新選組奇譚〜』『緋色の欠片』などの人気ゲームを手がけるアイディアファクトリーと、『サクラ大戦』『喧嘩番長 乙女』のREDが共同開発した同名ゲーム。コミカライズは『女刑事と犯人の乙女ゲー転生 ~目標は攻略対象の中~』『制服のラグナロク』の紗与イチ。講談社「ARIA」にて2012年から連載され、2014年に全4巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 猫族は差別されるあらゆる存在のメタファー。どこにいても迫害される存在で、イヤでも「平等とは?差別とは?」と考えさせられる、実は深い作品です。それと同時に、恋愛ゲームだけあって、張飛・曹操・夏侯惇・馬超と、出てくる男性キャラクターが全員ヒロイン関羽に恋のベクトルを向けてきます。バトルと恋愛の両方が楽しめる作品です。
【あらすじ】 その昔、中国の荊州の名家・黄家の娘、月英は、結婚適齢期過ぎても良縁に恵まれなかった。というのも、女のたしなみである料理や楽器はそっちのけで、身なりもかまわず学問や兵器の研究に没頭していたからだ。そんな娘を心配する父が選んだ婿は、かの諸葛孔明。こちらも家にひきこもり読書に没頭する、少々変わった男。月英は孔明が気になり、男性になりすまして、孔明宅へと近づいた。そこにいたのは孔明の弟・均(きん)とその恋人だった。均を孔明と勘違いした月英は二股だと思い込み、結婚式当日に破談にしようと画策するが……。
【作品情報】 作者は『坊主DAYS』『梨花の下で 李白・杜甫物語』『江河の如く 孫子物語』の杜康潤。2011年から芳文社「まんがホーム」で連載され、2024年6月時点で16巻が配信中です。
【おすすめするポイント】 あまりにも有名な、三国志の中の英雄中の英雄の孔明ですが、公のエピソードは数多く残されているものの、私生活の様子はこれまでほとんど描かれていませんでした。本作では妻・月英から見た孔明の姿を知ることができます。4コマ漫画であり、シンプルな絵柄で話が進行していくため、わかりやすくて気軽に読むことができます。結婚式当日に初めて顔を合わした二人が、ドタバタの末に絆を深めていく物語です。
【あらすじ】 三国志の英雄たちが現代に転生!蜀の君主・劉備玄徳は三国高校の女子高生・劉備徳子に生まれ変わった。おまけに魏の君主・曹操も生徒会長・曹司操(そうじみさお)、呉の君主・孫権は孫市権(まごいちはかり)に転生していた。操は、三国高校の生徒は全員部活道をしなければならないと徳子に迫った。しかし徳子の趣味は人知れず人助けをすることで、部活道とは相容れなかった。あの「桃園の誓い」で義兄弟になった張飛は張間飛虎(はりまひこ)に生まれ変わっていたが、頼りになる関羽はいなかった。そこへ関羽道(せきうどう)が転校してきた。彼こそ関羽の生まれ変わりであり、イケメンで空手・剣道・柔道の有段者、おまけに成績優秀だった。関は徳子にカムフラージュ用の部を作ることを提案し、園芸同好会を発足する。
【作品情報】 作者は『婚約者は溺愛のふり』『帝の至宝』の仲野えみこ。2016年から白泉社「LaLa」連載され、2020年に全5巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 「桃園の誓い」で義兄弟になった劉備と関羽。劉備が女性に生まれ変わったために、二人はお互いを恋愛相手として意識するように。さらに2巻からは孔明の生まれ変わりである小学生、諸葛亮(もろくずりょう)が登場し、さらに三国志の英雄たちの恋愛はややこしくなっていきます。三国志を知らなくても楽しめ、三国志を知っていればなおのこと楽しめる転生ラブコメです。
思いがあれば時空を超える。三国時代の人物が過去と未来を行ったり来たり、はたまた現代人が古代中国にタイムスリップしたり、SF設定で三国志の世界がさらに広がる、ファンタジー三国志漫画3選です。
【あらすじ】 西暦208年の中国。曹操は皇后に濡れ衣を着せて処刑し、皇帝の新しい妻に娘・曹節をあてがおうとしていた。しかし、朝廷には曹操の横暴を快く思わない一派もいて、曹節の婚礼衣装に血をぶちまけて嫌がらせをした。そこに現れたのが、現代のスーツを着た謎の男・司馬懿(しばい)、つまりは仲達だった。司馬は実行犯は人間ではない生き物と推理。後日、猿が館に侵入したことがわかり、猿回しが犯人だと判明する。司馬は、他人が望まない婚姻をすることに戸惑う曹節に「運命は他人が決めたものであっても、その先どうするかは自分次第」と語る。婚礼の日、司馬は現れた刺客から曹節を命がけで守り切った。猿は曹節の飼い犬にGPS付カメラのようなものを取り付けて、曹節の動きを監視していた。真犯人は諸葛亮(孔明)だったのだ。
【作品情報】 作者は『天上恋歌~金の皇女と火の薬師~』『天空の玉座』『龍陽君始末記』の青木朋。秋田書店「ミステリーボニータ」にて2010年から連載され、2012年に全5巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 三国志のトランプでジョーカーとして描かれる、永遠のライバル司馬仲達と諸葛孔明のバトルをSF的味つけで描きます。三国志の時代になぜかスーツ姿で、現代的な便利道具を持つ司馬懿が、曹操一家を守って探偵ばりの名推理を披露。ミステリーとタイムスリップが融合して、魏と蜀の国の成立直前の物語が展開します。本作の最大のライバルが、普段は主役であることが多い諸葛孔明で、司馬懿がなぜスーツ姿なのかとも大きく関わっています。司馬と孔明との対決の結果は?孔明の正体とは?一味も二味も違った三国志の世界を堪能してください。
【あらすじ】 2017年春、東京。三国志の英雄・劉備玄徳の生まれ育った村にちなんで名付けられた中華料理店「桜桑村」は、味は良いのになぜか客足はまばらだった。ある日、小柄な老人が現れ、店のメイン料理をあらかた食い尽くしたあと、「何か物足りない」「三国志好きなら「桃園の誓い」を思い出せ」と言う。店の常連で出版社に勤める松浦武志は中国最古の料理書を見つけ出し、店主・中(あたる)に「三国志メシ」を再現するヒントを与えた。中は本を基に店のメニューを一から見直した。再び老人が店に現れたとき、気がつくと中たちは「桃園の誓い」の場面に入り込んでいた。
【作品情報】 作者は『SEED』、『蒼太の包丁』『ハルの肴』の本庄敬。2017年から潮出版社「WEBコミックトム」に連載され、2019年に全3巻で完結しています。
【おすすめするポイント】 文豪・吉川英治の小説によって日本にも馴染みの『三国志』ですが、日本の戦国時代と違い、どんな料理を食べていたのかは意外とハッキリしていませんでした。本作では、最古の料理書『斉民要術』を参考に、三国志時代の料理を、現代の材料で限りなくホンモノに近づけて再現。見ているだけでもよだれが出てきますが、実際に作れるように身近な食材が使われおり、巻末にはレシピも掲載。三国志好き、料理好きの両方が満足できる作品です。
【あらすじ】 主人公・天地志狼(あまちしろう)は、遅刻癖のあるちょっとボーッとした中学生。しかし、幼馴染みの泉真澄(いずみますみ)だけは、全体の中から必要なものを掴む志狼の能力を理解しています。修学旅行で母の故郷である中国へ向かう飛行機が龍に襲われ、志狼と真澄は気がつけば西暦207年の荊州にタイムスリップ。劉備軍と曹操軍が激突する戦場の真っ只中に放り込まれていました。志狼は劉備から額に輪点ほくろがある「天運の相」の持ち主と崇められ、負傷して余命幾ばくもない軍師・単福(ぜんふく)に変わって軍師になるように頼まれます。
【作品情報】 作者の山原義人は本作がデビュー作です。1993年から講談社「月刊少年マガジン」に連載され、2006年に37巻で完結しました。続編『龍狼伝 中原繚乱編』は2007年に連載が開始され、2016年に全17巻で完結。シリーズ3作目『龍狼伝 王覇立国編』は2016年から連載され、2024年4月時点で10巻が配信中です。
【おすすめするポイント】 凡庸な中学生が三国志のゲームや小説を知っていたおかげで、劉備軍の軍師に抜擢。『中原繚乱編』『王霸立国編』とシリーズが続いていくうちに、やがて志狼は自らの「竜の国」を起こす決意をするほどまでに成長しています。志狼と一緒になって、平凡な自分のままで巨大な国の歴史を動かしている気分になれる、ワクワクするタイムスリップ三国志漫画です。
読めば読むほど夢中になり、英雄たちと親しくなれる三国志漫画にどっぷり浸ろう
今回は三国志を題材にした漫画から、厳選した27作品を紹介しました。三国志を題材にした漫画はこのほかにもたくさんあります。推しの英雄が主人公の作品をコンプリートするもよし、歴史的イベントの描かれ方を作品別に比較してもよし。お好みの三国志ライフを満喫してください。 すべての作品を無料で立ち読みできます。気になるものからぜひチェックしてみてください。