I LOVE HER
」のレビュー

I LOVE HER

いくえみ綾

メルヘン度が一番高い気がする生徒教師物

ネタバレ
2018年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ これアウトでしょうというシーン満載。学校でも学校外でも。新ちゃんなる、主人公の好きな教師は、ハラハラするほどチャラいのだ。
特定の生徒達と、しかも互いに譲れないと思ってる真剣女子二人の間で、意味深なやり取り。
また先生は、脇が甘いというか、期待させてしまう小悪魔か、という、なんだか、わざと憎めないキャラにしてる分だけ、相当リアリティー度外視。
いくら若い先生でも、いい先生として、という以上に、生徒の私生活に簡単にズブッと入り込んでる。それは、生徒側からの働きかけによるものであっても、応えているエピソードが、危なっかしい。読者が等身大だったりすると、夢展開という気がする。
昔昔ティーンエイジャーだった身には、メルヘンにしか見えなくなってくる。
もっと他の生徒を配慮しませんか、とこちらが気にしてしまう。
そうはいいながら、西脇さんも一直線で、つまり二人きりがなにかとあって。
デートの時に、花ちゃんが他の生徒の目を気にするシーンがやっと出てきたとき、やっとそういう描写も入れたか、と、変に道の修正にホッとしたような。

けれど、要所要所で花が新ちゃんに対して思う気持ちは、生徒先生物には普遍の、そういう難しさを見事に写している。

親がしょうもない、という環境でまだ高校生が毎日を一生懸命過ごす中で、新ちゃんに出会えて良かったね、とは、心から思う。

西脇さんの行動一つ一つのリアリティのなさも驚かされたが、あるあるのお嬢様的なキャラ設定ながら、先生に何とかして振り向いてもらおうとする徹底ぶりは脱帽。

相手「大人」のストーリーにパターン化した元カノ登場もどうも曖昧に時流れ、それは大人だから皆ズルズルではないのに、年齢相応に過去がある、で片付けられてない。それは、もう、大人であるとかないとかではなく、新ちゃんがキッチリしてないだけ。


先生の反則が多くて、大人になってしまった人間視線で先生が見つめられていて、その先生の、教師といっても恋愛も当然に流れの真っ只中にいるという若さが溢れていて、ついついこのストーリーは、花や西脇さんの独り善がりに付き合わされ、いつの間にか心の中を奥底にしまえなくなった、落ちてしまった先生の行く末に見えてしまう。
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