ヒロイン失格
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ヒロイン失格

幸田もも子

面白いと思って読み始めて完読すると悔いる

2018年5月6日
確かに利太に恋しているはとりが「ヒロイン」ではあった。しかし、長期連載の宿命たる利太の対抗馬が終盤いい人になり過ぎて、というか、利太がえげつなさ過ぎて、誠意では利太より弘光君が勝ったと思える分、はとりの揺れに共感を持ちにくい。「ヒロインなのに」なりふり構わない強烈な猪突猛進が、発刊の続いている時に読んだときは新鮮だった。意外な破天荒さの新しさが良かった。

ヒロインはとりが長年の想い人を取るのは、物語初めのはとりの奮闘を思うにつけ、それが彼女の努力に報いる「正当な」結末だとしても。

「センセイ君主」がなかったら、この作品の評価は、私には付けられなかった。

利太と弘光君のアンバランスが若干迷走を誘ったと思っている。
ストーリーの型破り感追求のため、途中出場のキャラの皆さんの異色さにも、異色なりの納得できる筋一本欲しかった、というのもある。

幸せな恋愛なんて結局当人の心の問題でしかないと痛感してしまう。
ちょっと救いが足りなかった。

「ひるなかの流星」(やまもり先生)と、ついつい対比して読んでしまう。製作時期も近いし、両方読むと面白い。あちらも微妙な印象に終わった作品だが。。
こちらも面白くないということは決してない。

それにしても、変わった名前多いとつくづく。。
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