ぼくの地球を守って
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ぼくの地球を守って

日渡早紀

紫苑に感情移入できるかがポイント

ネタバレ
2018年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昔に読んだけれど、とうとう私には良いとは思えず。
まず、紫苑が好きになれず。更に彼と木蓮の恋が私からすると理解不能だったこと。
そもそも、いくら辛い過去があるからといって、紫苑は無駄に他人を傷つけ過ぎ、ひねくれ過ぎ。最後まで、私はこの紫苑のことは好きになれなかった。
そんなに玉蘭は嫌われるような人か?紫苑の問題の方が大きいような。紫苑は頭にも容姿にも恵まれている点も他の戦災孤児よりも恵まれている。それから木蓮もやたらと男性達に理想化されて、女神のような扱いをされていたが。でも実際は結構ミーハーで、外見重視の軽い女性だったし。初めて対面した男性の研究者仲間達をほぼその外見のみで評するシーンもどうかと思ったし。
私はこの木蓮も苦手だった。それに私の中での最大の引っかかりとして、紫苑が木蓮にあんな卑劣な迫り方をした挙句、彼が強引に木蓮と関係を持ったこと。
そしてその後、なぜか紫苑と木蓮が恋人同士になってしまうこと。
あの時、どう見ても、木蓮は嫌がっていたよね?
どう見てもあんな風に迫られて、強引に押し倒されたのは彼女の本意ではなかったと思うし。イケメンで更に実際はその女性のことが好きならこんなことをしても許される、という論理の運び方に私は激しく抵抗を感じる。
少女漫画には結構多いけどね、そういうパターン。私は同意しがたいが。
それによほど紫苑が長い時間をかけて、あの卑劣で強引な行為を木蓮に対して謝罪するという誠意を見せた結果、彼女が許すというのならまだわかるけれど。
でも割と木蓮はあんなひどいことをされたのにあっさりと彼を許してしまうし。
私はこうした一連の展開がいろいろと非現実的過ぎると思う。
また、お互いがどこをそんなに好きになったのかも私には最後までわからず終いだったし。
お互いが強く惹かれ合って、愛し合うようになるような描写なんて、それまであったか?と思ってしまうし。木蓮の方は明らかに紫苑の外見で好きになったとしか思えないし。
それに紫苑も紫苑で、最後まで本当の木蓮の性格を理解した上で、好きになったようには見えないし。自分の行為のせいで汚されることもなく、最後まで額にキチェの印を戴いているとか、最後まで彼女のことを理想化して見ていたような感じが。
何か後付けみたいな感じで、実は二人は愛し合っていたから。だからあの行為は事実上の合意みたいなものなんですよとされても。
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