幼すぎた愛
」のレビュー

幼すぎた愛

ケイト・ウォーカー/汐宮ゆき

ああHQ版「嵐が丘」

2018年5月16日
「ヒースクリフ」ではなく「ヒース」、「キャサリン」ではなく「キャット」。まさに名作「嵐が丘」。まあ当然違いはあるのですが、読み進めるにつけ「嵐が丘」を思い出してしまってこの本ストーリーにのめり込めず苦労しました。どうしてもシンクロしてしまって勝手に「愛の悲劇」を頭に蘇らせてしまって過大評価になっているかもしれません。キャットが憧れていた「グレーンジ」とは、当たり前に豪華な住居があり、優しい父母がいて兄弟がいて笑い声が響き広い庭があること、そして優しいアーサーがいるというもの。幼くして母を亡くしたキャットは、たくさんのプレゼントと美しく飾り付けられた大きなクリスマスツリーでも見ている少女であったのです。だから表題「幼すぎた愛」。後にヒースが語っていました、「何も持っていない僕にはキャットに何も与えてやれないと悟った」と、「だからアーサーが君を幸せにしてくれるのならそれでいい」と。キャット自身もアーサーが表面通りの男性であったなら幸せに人生を過ごして行けたのでしょうね。兄ジョーゼフの心情が哀れに思えるように書かれてあったことがキャットとヒースとのわだかまりを優しく解いてくれることに読み手を納得させてくれました。残酷な復讐劇とはなっていません。「嵐が丘」とは違いハッピーエンドです。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!