愛は秘めやかに Ⅰ 女神の誤算
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愛は秘めやかに Ⅰ 女神の誤算

ミランダ・リー/高井みお

転がりだした大岩は誰にも止められない

2018年5月18日
ライオネルの妻の過去の傷のせいで彼の行為を正当化し、ジェシカとの不倫は仕方ないような設定には読後感が悪い。息子リュークがいるから離婚はしない、息子に嫌われたくないからジェシカの事は秘密というのもなかなか悪どいではないか。たとえライオネルの幼少期の経験が傷として残っていたとしても妻と向き合うべきであったはずだ。しかも、女を取っ替え引っ替えしているわけではなくてジェシカ一筋だとか、時が来たら全てを清算しジェシカとの人生を歩むという決意を書いた手紙には読み手を懐柔しようとする腹まで見えてイライラし、ジェシカの想いに涙した。そんな作者の思惑にマンマとはまり、リュークとジェシカの娘シーリアの恋にトキメキが止まらなかった。それぞれの背景がどうであれ、恋に落ちてしまった二人の猛スピードで発展していく様は、「恋」というもののエネルギーのすごさを遺憾なく感じさせてくれた。作品の展開も良く、良くも悪くも「恋」の全てを疑似体験させてくれた。あとはイザベル。彼女の話は別にあるようだが、彼女の幸福を読もうと思う。
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