このレビューはネタバレを含みます▼
美しい姫に憧れて入学して出会った男の子が、実は姫でした…そして、彼に恋をしてしまう。
そんな設定や、読ませる漫画を書く力はさすがベテラン、上手いなぁと思わされます。
現に続きが気になって、最後まで読んでしまいましたし。
ただ、この作品は話が進むほどに、大丈夫かな?と思わされる方向に話が進み、最初の巻で期待したような読後感は得られませんでした。
よく言えば、天真爛漫でマイペースな主人公。
彼女の何を見て惚れたの?と少し不思議に思ってしまいます。空気を読まず自由に振る舞う自己中心的な彼女に、男性が惚れ込むほどの魅力を感じることができませんでした。
家柄が良く何かに縛られている彼らにとって、好き放題自由な彼女は魅力的に映ったのか?と良いように解釈するしかありません。
特に友人の新は、なんで声かけてきたのかも、いつのまに主人公に夢中になってたのかもよく分からなかったです。
おまけに新は騎士になりたくて努力してきた人。そんな人にとっては何の努力もなしに、織姫と一緒にいたいってだけで騎士になると簡単に言い出し、しかも織姫に気に入られているというコネでトントン拍子に騎士にしてもらう主人公なんて、普通に考えて疎ましく感じるのでは?と疑問に思いました。
それが"主人公を守る為に騎士になりたい"なんて言い出すほどの惚れっぷり。ちょっと意味がわからなかったです。最初は嫌ってて、後々好きになるとかだったらまだ納得できました。
姫譲りもありましたが、主人公が騎士になろうが姫になろうが、何の変化も感じないストーリーだったので世界観がよく分からなかったです。
とにかくよく血が流れる学園だな、と引いてしまう漫画でした。
ただの学園生活なのになんで姫を辞めたら命懸けの儀式が待ってるの…。でも勝手に姫譲りに変えたら回避できるとかも意味わからないし。
姫をしたから何だって言うのか。ただの生徒会みたいなものだと思うんですが。そんでもって辞めなくても、卒業でどうせ終わりだろうし…。
キャラ達が重んじてるであろう設定そのものがうやむやで世界観が理解できなかったです。
おまけに斎の最後は酷かった。
織姫が、全ては本羽龍院の血のせい、とか言って終わらせましたが、どちらかというと父親の代から息子達を不幸にしたお祖母様と、周りの男達の人生を狂わせた主人公のせいなのでは…と思わずにはいられませんでした。