チェンジワールド
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チェンジワールド

南月ゆう

恋愛の表と裏

ネタバレ
2018年6月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「サヨナラゲーム」の続編。
カップルとしてスタートした二人の間に穂積なるゲイが割って入り波風を立たせます。
個人的にはこの穂積、そう悪い人間には見えませんでした。彼は過去に手酷い裏切られ方をして辛い思いをしたために、自分と同じような辛い思いを可愛い後輩たちが将来してしまうのが忍びない、そんな思いがあってあんなことをしたのかなと解釈しています。勿論やり方は決して良くないですが。
本当にクズな人間なら、かつてのカムフラージュ彼女とかバーの店長のように穂積を心配してくれる人間はいないだろうし、波風立てては面白がるような悪いクセはあるのかも知れませんが、根は悪い人ではないんだろうと。
ただ有村と要祐に限っていえば、男性同士だから魅かれたというより、たまたま好きになった相手が自分と同じ男だったというように見えるので、穂積と同じように(つまりゲイだから駄目だったと)当てはめるのは違うように思いました。
穂積という波風により有村は自身の醜い感情を突き付けられることになり、1巻では恋愛は決して楽しいこと嬉しいことばかりではなくて自身の嫌な部分も露わにしてしまうということが描かれています。
一方の要祐はこの波風に対しては意外と肝の据わった冷静な面を見せてくれて頼もしい。やっぱり男なんだと安心します。
もう一つの要祐のキャリアアップに関する問題、これは仕事を持つ者同士、男性同士に限らず男女間だろうが夫婦間だろうが永遠の難題で、生き方やそれぞれの夢やキャリアアップと、二人の関係や二人の時間とをどうすり合わせていくのか、そこはもう二人で話し合って寄り添っていくしかないので、二人が2巻でどのような答えを出すのか期待しながら読んでました。そして出した有村の答えが素敵でした。
今回初登場の有村パパも素敵な方でしたし、有村妹は勿論のこと、きっと有村ママも受け入れてくれそう。松も見守ってくれてるし、めでたしめでたしです。
そして穂積。彼らしい茶々は相変わらずですが、それでも二人を自分の希望も含めて見守っているように感じられたのがホッとしました。
相変わらずHの時の要祐のエロ可愛いこと。時に女の子っぽくなるのが個人的には気になりますが。対する有村のエロオヤジ的意地悪も楽しい。また沸点上昇中時の要佑にキノコが生えてくる表現は新鮮で面白かったです。
スピンオフでも良いので穂積の救済もして欲しいです。
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