惡の華
」のレビュー

惡の華

押見修造

罰のない罪

ネタバレ
2018年6月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最後まで読みました。
面白かったかどうか?というと、絵柄は好みです。
序盤は微妙ですが作者の画力の向上もあってか、話が進むにつれて魅力のある画風に変わっていきました。

肝心の内容については、思春期の「自分は特別な存在」だという所謂厨二病を患った少年少女の喜怒哀楽を絡めた群像劇なのでしょうが、単行本の話の間にある作者のあとがき?から、どうしても作者の少年時代をモデルにしていることが透けて見えて来ます。

そして、実際は出来なかった事、実現しなかった妄想を漫画にした感じがしてなりません。
実際に春日少年のような子があのような状況下に置かれて、佐伯さんから別れたくないと懇願されて、それでもなおああいう暴走に走ることができるのか。
最終的に結ばれる常盤さんにしてもそうで、周囲からも美少女として一目置かれている存在な子が、実は推理小説オタクでそこから恋が芽生える、とまあ結局のところ作者の希望的妄想にしか思えない訳です。
それでも登場する女の子は魅力的に描かれているので読み進められましたが、春日少年が中学時代に行った事については到底許されることではなく、思春期のヤンチャを通り越していると感じます。
その結果として親類からも疎まれ引っ越しはしますが、最終的に常盤さんは過去を含めて理解してくれて、結婚して子供産んでハッピーエンド。
これはおかしい。

佐伯さんへ行った事を含めて、多くの人に傷を残しておいて、この結末に至るのは違和感しかありませんでした。

佐伯さんをあそこまで暴走させ、家族から親類までレッテルを貼られる状況に至らせ、挙句に常盤さんの彼氏に至っては、まああの彼氏も微妙ですが、目の前で横取りされてしまう。

主人公無双すぎます。あそこまでドロドロにしてしまっているのだから、最後は常盤さんの元カレが暴走して刺されて終わるくらい無いと彼の罰が無さすぎます。

結論としてこの作品は作者の自己満足表現だったんだなという感想となりました。
作品評価は星1
佐伯さんと常盤さんに星1個ずつ
そんな感じです。
この後も作品を出されてますが、原作やめて作画で活動される方が良いのではないですかね。
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