このレビューはネタバレを含みます▼
作者の初期の作品ということだったが、流石だった。読みやすい文章なのに華やかさが漂っている。ソムリエの話だったので余計に。でも嫌みがないところがすごい。
たまに例えで「ん?」となることもあった(欲望に高まった体を「ジムでトレーニングした人みたいに熱をもつ」と例えるのはいただけない)が、それは他の部分の香りの例えに華やかさがありすぎたからこその落差だろうか。
ストーリーとしても、事故にあって記憶喪失になるお約束じゃなくて、ソムリエにとって一番大切な嗅覚を失うハンデだったことが良かった。それを取り戻すために攻が沢山の物の匂いを嗅がせてくれるのが、匂いと記憶が密接に結び付くこともあり、関係性が深まるだろうと感じさせてくれる。それに、たまらない甘やかさがある(本人はリハビリで甘さを感じるどころではないだろうが)。
BLとしてだけではなく、しっかりと登場人物の成長物語にもなっているところが作者らしく、素晴らしかった。