このレビューはネタバレを含みます▼
※追記の所感にネタバレあり注意願います。
まず一言。この作品を商業ベースで世に出した、著者と担当者の方に感謝します。良くぞ、ここまで
振り切ったなと思います。
他の方のレビューにもありますが、この作品はカニバリズムの要素があるため注意が必要です。
ただ、この物語の中心は、
作品全体に漂う「狂気」であり、
カニバリズムは、その一要素でしかありません。この狂気にノれるかどうかで、作品の評価が変わりそうです。
エロ描写はありますが、正直言って淡白に感じました。しかも猟奇的な描写とニコイチなので、苦手な人は萎えてしまうでしょう。
猟奇的な描写が大丈夫な人は、何てこともない描写に、凄まじいエロを感じてしまうかもしれません。
絵は繊細で綺麗です。キャラクターの造形に著者のこだわりを感じます。ストーリーですが、ネタバレは抑えますが死者の物語であるものの、悲壮感は少なく登場人物の表情の一つ一つに、むしろ力強さを感じました。ただ、一本調子ではなく、しっかり陰鬱な雰囲気もあるため、メリハリが効いていて読み手を退屈させません。
2023.01.10追記-MADK全3巻読了(さらにとりとめのない個人的な所感)
1巻を読み終えた時点でものすごく疲れたという事と著者が2巻に全3巻の構想を明かされていたので3巻が出てから再度、一気に3冊を読もうと思い本日読了した。悪魔の話と思っていたらヤクザのシノギの話ともサスペンスとも、もしくは憎愛の話なのかとも錯覚する。でも、やっぱり悪魔の話なんだと、いきなり戻されてストーリーは一本筋が通っていると感じながら、全3巻を読み終えた。テーマが終始一貫していたからだと思う。視覚的なインパクトでいうと2,3巻は1巻を超えない。でも、ストーリーの濃度は2巻3巻と濃さを増してゆき3巻の途中からはストーリー的には既に決着している為、後は余韻。でも、この余韻が濃厚なストーリーから私を開放してくれた。とにかく、この3冊は読み終えたときの疲労感が半端なかった。もちろん心地よい疲労感ではある。個人的な感想であるが、この話は恐らく絶望を抱え続けた者を救済する話なのだと思う。作中に破滅というキーワードが出てくるのだが私には救済にしか見えなかった。私の心地よい疲労感の正体だと思った。