このレビューはネタバレを含みます▼
ファンタジー系漫画で恋愛要素もあり、一見いかにも少女漫画という感じなのですが、主人公とそのお相手(神様)が過労死寸前(神様は死にませんが)の働き過ぎという、現代日本の寓話のような面もあり、興味深いです。コレットとハデス様が疲れ切っているところに出会って、お互いを癒しながら助け合っていくありかたはとても理想的です。出てくるキャラクターすべてが優しく、この漫画そのものが、頑張りすぎているすべての人への応援歌のように感じました。第六巻あたりで、コレットが無茶苦茶に歩きまくってけがをして、お針子骸骨ハリーに世話をしてもらうところ、コレットが自分の不注意でこんなけがをして迷惑かけて申し訳ない、みたいなところがあるのですが、そこでハリーが「でもコレットは生き物なんだから、けがすることだってあるん」みたいなことを言うのがジーンときました。頑張りすぎている人ほど、自分が体調くずしたりすると自分を責める傾向があるので(己の体調管理に不備があった、みたいな)、「自分を責めないで。大事にしてあげて」というメッセージのように感じました。現実にはそんな自分を世話してくれるハリー(のような存在)がいない人も世の中にはいっぱいいるわけですが、この漫画を読んで少しでも癒されてくれたらいいなというような作者さんの想いを感じました(違っているかもしれませんが)。20巻は長いので、最後まで読むかちょっと考えてますが、途中まで読んだところではすごく良い漫画だという印象を受けました。特にコロナで疲れ切っている人がいつも以上に多い中、この漫画で癒される人はたくさんいるだろうなと思います。そういう意味でも意義のある漫画かなと。