七百三十夜 大合本
」のレビュー

七百三十夜 大合本

柳沢きみお

自分勝手な男の話

ネタバレ
2018年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 美美子の言葉は自分の思いとよく合う。
吉永がグダグダと人生について哲学するのは、金にも困らず余裕というか暇なんだと思う。

ストーカー男に対し「全てを他人のせいにして逆恨みする男」とあるが、形が違うだけで吉永も幸せを他人に依存している。幸せな境遇なのに自分の快楽を求め、都合よく合わせてくれる美美子に延々と自分語り。見ず知らずの女子高生には生活援助し、妻の旅行費用にはイヤミ。結局責めていた父と同じ行動をする。
結果、勝手過ぎて自分の手で幸せを壊していくのです。

幸せは自分が感じるものだが、「幸せとは~」と論じるだけで、幸せになる努力をしない。金銭や物欲食欲性欲でしか幸せを感じない。

最愛の女という美美子にも「老いたら愛情が保てるかわからない」。女性の若さや見た目を愛し、人を心から愛せないただのクズが、自分が人生の被害者面して理想をペラペラ喋る物語です。

実際にこういう男性と付き合った経験がありますが、自分を一番愛する悲劇のヒロイン症候群です。金持ちじゃなきゃ、誰にも本気で愛されません。

この作者さんの話は男の身勝手な本音がよく描かれています。
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