王位か恋か

女性ならほぼ誰でも、全てを捨てても自分だけを愛してくれる人を望む。自分が愛している人が、そこまで自分を愛してくれる、これ以上の女の幸せはないだろう。
それだけ、現実はままならない。
ストーリーはまさに夢を体現するかの様に格好良く終わる。
絵は全く好みではないが、二人の状況設定や自立した考え方など随所にひかれる要素があり、気にならなかった。もっとも、マレクがスーツ姿で袖まくりする絵は私の好きなポーズであった。
事故現場に救急に駆けつけて髭を剃り損ねた顔は、疲労のためにこけた頬のラインも貧相となり、そういう場面では仕方がないのだが、状況に忠実なことに驚かされた。

だが、最初からちゃんとまっすぐヒロインに寄せている愛情があり、ヒロインのことを考えての行動をマレクが取り続けることに、読んでいて私は状況に酔わされ、多少好みでない絵であろうと、王位を賭けた世紀の恋を連想させられ、ちょっとした夢気分になれるのだ。ただ放り投げたのではなく、ちゃんと問題を片付けた、というキャラも好感度上がる。

人の命を救う、そういう姿は無条件に素敵に感じてしまう、というのもある。