おもいで金平糖
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おもいで金平糖

持田あき

さて…語ります

ネタバレ
2018年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少女漫画=恋愛=主人公の好きな人との両思いでのハッピーエンドっていうのは誰が決めたのか、(結局は読者がそういうのを求めてるんだろうけど。)暗黙の了解、お決まりのパターン。無難なところ。この作品は「男女の恋」にこだわりがない。兄弟、恩師と生徒、親子、子役女優の葛藤、同性愛者…必ず色恋にもっていくわけではないので、スッキリ読みやすい。もちろん恋の話もあります。でも、両思いにこだわりがない。タイムリープしたら、それを経て現在に戻って恋も上手くいっちゃったなんてよくある話。戻ってきてもそういう奇跡はおきない。幼なじみ同士くっついてほしかったけどこれでいい。病気が治ってほしかったけどこれでいい。主人公が一歩踏み出せたからこれでいいって思えるのは、希望が見えるラストだから!両思いじゃなくても主人公が幸せになれそうな種をまいてる。

不治の病とか、障害とかのお涙頂戴の話ではないけど、これは泣くよね。(私はマンガではめったに泣かないけど、ジワっと目に涙がたまりそうになった。)
せつなくてジーンとくる。悲しいけど前向きになれる。いい作品集です。

読み切りなので、内容詰め込みすぎとは思わなく、短編っていうのを上手く使っています。そしてまた、読み切りとはいえ時代背景が様々。数年前の平成から、戦時中、戦前。
勝手な想像ですが、背景も服装も違う作品を短編で描けるって楽しかったんじゃないかなと。時代背景が現在でない場合の長期連載になったら描くの飽きたり、資料不足とかでてきそうなので。ラムネの由来など、時代にあった内容もよかったです。

今現在、「初めて恋をした日に読む話」を連載中の持田あきさんですね。すごく気になっている作品だったけどまだ読んでなくて、持田あきさんのは初めて読みました。
どことなく、作品のストーリーの雰囲気が30年ほど前のりぼん作家の高井祐さんに似ているような…もしかしてちょっと影響うけてたりするのかな。

昔のマンガは…って、私が子どもだったから気づかなかっただけなのか、最近のマンガは性に目覚めるのが早いというか、昔よりオープンじゃない?良くも悪くもそういうのが売れるってことね。絵は今の漫画家さんの方が凝ってますが、昔はストーリーがいいマンガがたくさんあったなあって、これ読んで思い出したよ。
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