灼熱のルビー
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灼熱のルビー

三浦浩子/ルース・ランガン

六人の子持ちになりたいとは意欲的な!

2018年12月13日
シリーズ全てに悪人が出てくる。悪いやつを退治してくれる話は、単純に晴れやかに結末を迎えられてほっとする。
二人は幸せに暮らしましたとさ、もいいけれど、いい人もいれば悪い人もいるのが世の中だから、このシリーズのように、人の醜い面も捉えて人間の因果を考える味付けあるのも一興。

保安官、なんだかんだ当初の抵抗虚しくすっかりラブラブで、にやにやしながら読み終えた。ずっと意識してたもんねー、という判り易い流れに、結婚を意識した言葉が熱くて良い。
落ちたら最後、早く会いたくて、が最高。

人の噂は、無責任な存在。
町のお喋りおばさん二人は一方的視点による口の攻撃でヒロインは間接被害を受けていた。
彼女は幼少期は、やはり別の意味で見方の凝り固まったシスターにより、彼女自身になんら責任のないことで、大人になった今に至るまで、トラウマを植え付けるむごいお仕置きにあっている。親が未婚で彼女を生んだという理由で、子どもが自身でおこなったことではないことなのに。
保安官助手のアーロウも語るべきでないことを他人に容易く口を滑らす人間。
このストーリー、三者三様の、そしてある意味同類の、バイアスの強くかかったフィルターで人を見る厄介な人間が登場。
そこに悪意があろうとなかろうと、これらの行為が被害をもたらす人間社会の罪な部分を、物語として
メッセージを秘める。保安官自身の思い込みや固定観念をも、築き上げた人間関係をいとも簡単に崩れてしまうものとの警告も入る。
また反面、ルビーの店の順調な成功もやはり人の評判という、上記とは正反対な描写も。

無法者流れ者親をなくして残される子どもの悲惨、シリーズは盛り沢山に社会の成熟を果たす前の不安定な開拓期が舞台。やりきれない非道い試練やサバイバルの大変さには、平和な今の人間の私には申し訳なく感じるほど。

しかしシリーズを締めくくる4女のロマンス、良かったね、というところ、お姉さん達が次々幸を掴むシリーズ他作品の中に常に出て来た保安官氏、出番が来たのだった。
保安官のプロポーズに向かってヒロインも思い上がりひとつ見せずにこれはこれは楽しく賑やかな家庭を作ることだろう。
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