鼻下長紳士回顧録
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鼻下長紳士回顧録

安野モヨコ

切なくて美しい

ネタバレ
2019年2月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ イラストのようなタッチと構図で描かれた美しくも切ない不思議な世界観。当事者なのに他人事のように自分を見つめて描いているかのよう。深い闇の中にあって悲観するでもなく、ただ明ける時が来るのを静かに待っている。全てが切り絵のようで、刹那的で、静寂に包まれている。所々にコミカルなシーンがありそれが救いになっている。最後にコレットは現実を取り戻したが、それは妄想を現実に触れさせろというユリスの言葉通りになった。作者はもがきながら多くのことを学んだのだろう。作者の教養の深さも感じることのできる作品だった。
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