楽しかった。 ヒヤヒヤ、ハラハラ、もあり

コンプレックス、引っ込み思案、切ない片想い。
苦しいけれど、打ち明けるなんて絶対できない、そのドキドキが、本当に読んでいて何とかしてあげたくなる、可愛いヒロイン。
赤面したり慌てちゃったり、もう全て読み手のこちらが心配になるほど、彼女には余裕がない。でも、わかるだけに、それだけの気持ちの成就に向かうであろう結末を、ひたすら期待して、読み進められる。
ただ、その彼女が、まるで振り子の左右反対側へ思い切り振り切るかのような、真反対キャラへ豹変。
大胆人間になったらなったで、今度は驚くべき行動で、片想いの彼を振り回す振り回す。別人格ホリーが乗り移ったから。
地球からなくなってしまいたい気分、のところ胸が痛んだ。

彼女の押せ押せモードの過激さに引いている姿もあった割には、いかなる転換点が到来したのか彼は彼女にコロリ。結婚なめとるとバチ当たるぞ、とデビッド指摘も受けていたのに、本当の探し人である元カノ登場で、彼は自分の感情の自覚が急に。
私には彼の切替えには置いてかれた。
それにしてもデビッドは本当はヒロインを？、と含みを持たせ巧みに想像にお任せ、と持っていっており、作者は策士だ。

切り取り方の大きな画面を見ると、隙間だらけのコマだと思う。あっさりと処理されてるかの如くの、小道具描写の極めて少ないコマの多さで、又は一頁中ひとコマだけで、それだけ？、と感じてしまうのだ。スマホで読むから良かったものの、本当は私は紙のサイズがいい。
こまごま描き込まれてるからっていいとは限らないし、大きなコマに表現力を感じるものもあるので、一概にそれが悪いとは言うつもりはない。

それでも、私はたっぷり眺めたり、じっくり読み込んだり、頁をめくる手が止まったりだとかを楽しみたい、というのはある。

ヒロインのコンプレックス源、その解消シーン。素敵な人を捕まえたことを周りに見せつけたい、みたいな少し女のイヤらしさとの共通項を感じるのは、そういう夫で女のステータスを引き上げる、みたいなのをどこか鼻につくと私が感じるタイプだからなのか、この意図が余り気持ちよくなかった。
「呪い」から解放されたのなら、そこからは何歩も離れるだろうし、姉三人ともに彼にどうこうとのシーンは余分に、感じてしまう。これが、もしも、姉達がヒロインを、引け目に思わせるなにかを、いやらしく仕掛けてきたならまだわかるのだがー。