ナニーの恋日記 Ⅱ 七年目のプロポーズ
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ナニーの恋日記 Ⅱ 七年目のプロポーズ

バーバラ・マクマーン/星野正美

焼け木杭に火

ネタバレ
2019年3月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 過去の関係を復活させたいがためのデクランの思惑。もちろん娘ジェイの為のナニーとしては、自らの生徒であったサヴァンナを評価しての事ではある。物語の意図はよくわかる。しかし、過去(この場合7年前)のお互いの評価ばかりの展開に違和感が残る。ことのほかサヴァンナからデクランを評価することに於いては、ナニー視点で語られていて今のデクランを男としてどう見るかということには触れられていない。まあ、結婚を希望しているのだから、どんな夫になるかという視点になるのは仕方ないにしてもその思考が過去にゆだねられている感じがどうにも納得いかない。恐らくはジェイを間において男女のそれを匂わせることは親子関係の構築に妨げになることだからという忖度が働いての事だろうと推察はするが、如何せん「現在」が置いてきぼりにされている感は否めない。これらの事に加えて、前妻マーゴの事についてもそうだ。自己中心的な彼女を自分たちから遠く離し邪魔させないように、知人のコテージをあてがい、最後には離れたデクランの店を任せる提案してきたところには機転の利く女性を表現したかったのかもしれないが、私には計算高く感じてしまった。これでは、この先も事あるごとにデクランは手をこまねき、サヴァンナが指示する事態が予想できるではないか、そんな「現在」のデクランのどこに魅力があるのか理解できない。焼け木杭には火が付き易いとはいうが、学生の頃の価値観そのままにデクランを評価し続けているようで読後感が悪かった。
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