友達
」のレビュー

友達

ジェシカ・スティール/星合操

お人よしの「献身」

ネタバレ
2019年3月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「友達」と表題にするにはアンスティーとジョアンナの絆についての説明が不足している気がしました。ジョアンナの家庭には事情があることだけは描いてありましたが、幼馴染である姉妹のような関係であることは想像するだけに留めてあり、過去にどのような「甘やかし」事象があったかは描かれていません。アンスティーがジョアンナを甘やかしたことが今の状況を作り出しているとケイルが窘めているシーンが作中にありますが、それを説明するための事象として、妊娠中に援助したなんてことはまったく論点が違います。シングルマザーの友人を助けるのはあたりまえのことでしょう。「甘やかし」を論点にしたいのであれば、やはり過去の事象が必要です。アンスティーとケイルが進展していく過程で、ケイルの術中にはまっていくのは面白いところですが、偽装結婚に持ち込む車中でのやり取りに矛盾が生じています。「母に本当の事を言えば君はロージーを失うんだ」このセリフはアンスティーを引き留めるために思いつきで発言したもの。それは絵にも「汗」が書かれていることで分かりますが、そこに少々で良いので彼の心中を書いてくれていればロマンスが生まれるのにとがっかりしました。レスターのセリフには誤植?と思われる部分にため息が出るし、一目ぼれ同士の結婚とはいえアンスティーとケイルの間には「虚飾」しかなかったのに「愛している」なんてどこから出てきたのか理解不能です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!