黒曜の騎士と金の姫
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黒曜の騎士と金の姫

火崎勇/渡辺ゆうな

ヒロインはとても良い、けれどヒーローは…

ネタバレ
2019年3月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全394ページ。途中まではとても楽しく読みました。
兄の領地で過ごす幼いお転婆な姫は、ある日お忍びの最中、傷付いた異国の騎士を見つける。お互い身分を語らないまま、姫は身を隠す騎士の元へ通い彼を助け、見返りとして騎士から剣を習う。やがて姫は師弟以上の恋情を抱くようになるが、騎士は姫の元を去ってあるべき場所へ戻る。
そして時は経ち、いつか彼に再会したときのためにと努力を続け美しく成長した姫は王となった騎士に再会し、彼の元へ嫁ぐことに。
自分はかつての少女であり、今もあなたを慕っているのだと伝えたい姫。しかし王も、彼の側近も、彼女にキツくあたり詳しく話をする機会すら持たせてくれない。けれど王妃となった彼女はめげずに彼を慕い、現状に立ち向かおうとする。
勇敢で一途なヒロインにはとても好感が持てました。しかしラスト付近、やっと王妃がかつて剣を教えた少女だったとわかってからの王の行動がひどかった。
今まで妻のことを何も知ろうとしなかったのに、謝罪もなしにすぐベッドへ連れ込むのはいかがなものかと。かつての少女をどう思っていたかというだけではなく、現在の彼女のこと、そして彼女に自分がしたことをもう少し省みて欲しかったです。TL小説として閨シーンを入れなければならないとしても、正体がわかってからそこに至るまでにもう少しページを割くか、補足的な後日談がさらに必要だったと思います。ヒーローからヒロインに対する心の変わり様をもっと描いてくれないとあまりにもヒーローサイドの印象が悪すぎる。
また、複数誤字があったのも残念でした。
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