このレビューはネタバレを含みます▼
言葉を失う完成度と熱量。登場人物一人一人の人格が確立していて、どこまでも深度を持った世界観。個人的には一蔭とメリノ先生が大好きです。一蔭とのエピソードは要所要所で泣きました。クレイシハラの一番幸せだった瞬間とか…。
クレイシハラが千蔭にきもちわるいアプローチをとりまくっていて、千蔭が引いている感じの関係が好きだったので、3、4巻で正直「いつの間に(そして何故)クレイシハラのこと好きになったの?」という気分になりましたが、まあとにかく好きになったんだなと納得してしまえば良いんでしょうね。
わざと残酷なストーリーや救いの無いオチにして、印象を強くしようとする"アート系"まんがってあるけど、この作品はそんな小手先の技ではない。悲しさ辛さ惨さみたいなものの先に、人の精神(愛情?)の美しさを感じさせて、どろどろした暗い話なのに、読後の印象は妙に明るい。唯一無二の個性を持った、すごいものを読んでしまったなぁという感じです。