プレゼントは花婿
」のレビュー

プレゼントは花婿

田辺真由美/デイ・ラクレア

朱に交われば赤くなる

ネタバレ
2019年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ なかなか手ごたえのありそうな読み物なのに残念な読後感です。マディスンは悩み自分を恐れている。過去に犯した犯罪を暴かれることを、そしてその犯罪を楽しむ悪人であることを。自分自身がそう決めつけてその思いを補完しているのだ。父親のせいで窮地に立たされた一族に弁済するためと護るために、心ならずも同業者となった。一人で頑張れる、あの父から遠く離れれば性悪さは押し込めていられるはずと頑強な甲冑を身に着けた。ところが、祖母サニーとバートとの出会いが彼女を追い詰めていく。サニーはこともあろうにマディスンに同業者であるハリーと添わせようと画策するのだ。マディスンにとって最も恐れていたことが目の前に差し出されたのだ。業界では優秀で大物、そんな彼には見破られる、常にその恐怖に苛まれているマディスンの心中など知るはずのないハリーは強引に迫り続けるのだった。しかし、作画ではその緊張感が無い。本当はハリーに惹かれていて、ハリーに迫られるたびに受け入れては拒絶することを繰り返す当たり前の若い女性のそれはタップリ描かれているのに。そして運命の日はやってくる。従兄弟のリンクの犯罪現場にハリーとともに居合わせることとなったのだ。マディスンは観念する、全てを打ち明けると。けれども思いがけないことがそこには待っていた。隠し続けていた自身の秘密を、護っていたはずの一族が知っていたというのだ。護っているようで護られていたマディスン、自信家で、誠実で、一途なハリーの愛情によって彼女は自分を許しハッピーエンドとなる。このきっかけが、マディスンの理想の伴侶の条件を書いた1枚の紙にハリーが価値を見出したことであるのは「恋の法則10か条」の著者であったからなのだろう。読んでみたいとは思わないけれど。HQには珍しいヒロインが罪を犯している設定の物語だが、如何せん明暗を分けていないから登場人物の心境を感じ取りにくい。それがアッサリ読み終えてしまう理由だと感じる
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