約束のネバーランド
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約束のネバーランド

白井カイウ/出水ぽすか

ダークファンタジーであり冒険物です

ネタバレ
2019年3月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 冒頭ののどかさからは想像がつかなかったダークファンタジーです。
孤児院だと思っていた場所は、人を食べる『鬼』のための『食用児』の農園。人間と家畜の関係です。
ハウスからの脱獄までは、ママである『飼育監』との心理戦、外の世界に出てからは冒険物に近いです。

4巻はノーマンとレイの見せ場。
ノーマンとの別れに、まず涙しました。
そしてレイが長い間温めてきた計画の全容と、それを吐露する際の叫びが、胸に迫ってきました。ハウスの真実を知りながら独り生きてきた子の絶望が悲しくて、それをエマとノーマンに救われたレイの、気持ちの変化が丁寧に表されています。

どうしてもエマ、ノーマン、レイのフルスコア組三人とドン、ギルダに偏りがちだったハウス編から一転して、脱獄以降は、ほかの子どもたちや鬼たちに焦点が当てられるようになり、世界が広がっていきます。
他の農園の子どもたちとの出会いや、同じように脱獄した大人、友好的な鬼とのエピソードが積み重なって、エマの『理想』が確立されていくのですが、やがて理想と現実の衝突が。それをどう解決させるのかが、このお話のテーマの一つだと思います。

登場人物の年齢を11歳と幼めに設定してあるので、ダークファンタジーとしては少し物足りなさを感じるかもしれません。進撃の巨人やHUNTER×HUNTER、デスノート系を期待する方には不満があるかも。
人死にも最小限に抑えられています。
エマ、レイは人間を殺さずに13歳(13巻時点)までやってこられましたが、ノーマンはかなり過酷な二年を送っていそうです。量産農園を潰すシーンに、その一端が見られました。

既に最終章とのことですので、伏線がどのように回収されて、エマたちがどんな未来を選び取るのかが楽しみです。
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