邪悪な天使
」のレビュー

邪悪な天使

リン・グレアム/JET

セット売りあるのにこちらはバラ売り

2019年4月5日
二巻目も読む気満々ならこちらではなく、セットが割安なのにな、と思い書きます。様子を見たい人はこっちでしょうが。なのでセットの方にレビュー書きました。(2021/09/01追記-5月頃セット販売がなくなった様子。読書記録ご共に消えた。困惑。値段を変更して存続させればいいのに。出版社の読者ないがしろ姿勢に不満。)

信じた方が良かった人の方を信じきれず、信じきっては良くなかった人を信じてしまった、愛情の薄い家族の中で育った女の子の悲劇とでも言いましょうか。
母が奔放だったのが元凶であり、またその母の奔放さ故に血を分ける者が居ることの大いなる強み、とでも言いましょうか。

彼のほうもまた、母の悲しい一生を傍らに見て過ごして、寂しすぎる、そして悲しすぎる少年期を経て、その血の繋がりあったればこその遺産相続する大どんでん返しが、獄中であったそうです。「そうです」とは、事後で物語はこれを前提に飲み込んでますから。

調査不十分証拠不十分の、証言偏重の訳わからない服役後の彼の華々しい出所から物語は始まるのですが、いくら悪いことをしたとは思ってないからとはいえ、そもそも酒だ女だと、派手な登場。
対照的に、結婚話をすんでのところで撤回した張本人のヒロインは薪運び。いやらしいくらいに、受刑囚だったのが不思議なほど実業界返り咲きの彼と、お断りしちゃったヒロインの惨めさをとことん明暗出して、物語は、なんでお断りしちゃったの?、と読み手に思わせる技巧入ってます。
これはHQですから、復讐を誓いながらすぐヒロインの、魅力に屈服する定石に沿って展開、理解が深まりますので、ヒロインの誤解は綺麗に払拭でちょっとここは復讐どころか、ヒロインの復讐?のお手伝い。
このヒロインは、愛があるとかないとかで、愛してると言われてないとか、(結婚する気がないという言葉にショックは受けても)、そのレベルで騒ぎ立てないストーリー。なんなんだろ、こんな状態でも止められないなんてわたし、というヒロインなりの悲しみ方はするのだけれど。

要するに好きだものだから、なんだかんだ互いに再び夢中になるので、外野の悪党ぶりと、身内の破天荒が二人の関係にいろいろ入り込んで来ましたとさ、という、外野が二人を振り回すタイプの話。

邪悪な天使というタイトルと、ベッドシーンの頁の取り方に、この作品がどういう方針で出版されたかという程度に涙、で、この評価。
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