思い出のなかの結婚
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思い出のなかの結婚

湊よりこ/キャサリン・スぺンサー

ダリオに表情筋も感情もない

2019年4月7日
過ちを取り戻したい、は誤植ですよね?これはHQなのでしょうか。記憶を失ってしまったメイブが記憶とともに夫ダリオとの関係を修復していく物語なのだと思うのですが、どちらかというとメイブと姑との関係修復の物語に感じます。夫であるダリオは一晩の関係を望んでカジノにいたメイブを酔わせて襲った。その後妊娠発覚、責任を取って結婚という「愛」ではないもので、それがどこから「愛する妻」に変わっていったかが全く分かりません。冒頭から「出会った頃に時計の針を戻したい」から始まって、メイブは遊んでいい女じゃないとか過ちだとかダリオは後悔しかしていない。メイブ自身も金銭的問題から発展した結婚なのだから不満があって家出したなんてことはお門違いな気がします。メイブがダリオを容認する場面がS〇X中というのも「愛」ではないし、「愛している」と言えばS〇X出来るという常套句にしか聞こえない。気持ちよくしてくれれば許せるの?もともと「愛」はないのだから相性が良いか、その努力をしてくれる気持ちがあればそれでいいと開き直ったという解釈が正しいのかよく分かりません。それよりも言葉はきつくて態度も厳しい姑のほうが、息子と孫への愛情深さを見せてくれているし、エンディングも彼女の許しがあっての息子家族というように見えてときめかない。ため息が出る物語だった。
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