復讐は炎のごとく
」のレビュー

復讐は炎のごとく

ミシェル・リード/荻丸雅子

炎のごとくって、欲望の炎でしょうよ

ネタバレ
2019年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 肉体的に求めあってるシーンがかなりを占める。ヒロインの大事な時に居てくれなかったなんて事への「復讐」心(?)を、相手を求める炎が凌駕してた。
肉体の誘惑に自制の効かない、そういうことを描写するのだから仕方がないのだが、子どもが子どもがと言ってる割には、気持ちの上では大事にしてるとしても、子どもそっちのけで二人が溺れてる感じ。

ヒロイン、そのせいか、他の荻丸作品よりフェミニンで魅力的に見えた。激しく口で彼を拒絶した言葉を発していながら、彼のギラギラの虜。
離婚理由が浮気と流産なら、裁判所の接近禁止命令は滑稽なくらい過激に思える。

ヒロインの言葉よりも、ヒロイン以外の言葉の方が信じられてるのはHQ定番。彼の言い分も信じてもらえていないので合わせ鏡。よく、誤解による暴言で、メインキャラの男性がレビューでくず扱いされているのを見かけるが、この話は同じ事を翻ってヒロインもしている。電話不通とか、香りとか、傷ついてると強調するが、離婚裁判上の不義の立証には弱いのでは?

この話、ヒロインの側から見たら悪女な幼馴染サン、難しいポジションで正面突破できなかったんだろうと思うと胸が痛む。プレイボーイの幼馴染、近くに居た彼女は間合いが取りづらかったろう。横から現れた彼女さんにまんまと持っていかれた、と。
サソリとヒロインが思うなら、もっと、いかにもサソリ然とした描写は欲しい。
長年近くに居ながら詰められなかったサソリさん、確かに百歩譲っても、子どもになんてNG。方法論大事。ただ、彼と互いに結婚する気持ちを持っていたならそのセリフ、邪魔者追い出し狙いが分かりやすくてウケただろうが。

復讐とは、サソリさんの復讐か?いや、やり直しという含意の原題の邦訳言葉選択ミス?だけでは?

馬脚を表したとき、皆目撃者なのが、胸がすいたところ。ご近所さんだったというから今後大変ね、とは思った。

流産は時期が読めない。連絡つかず、というのはかわいそうではあるが、付き添えるとは限らない。早期の流産なら、悲嘆の時間を与えられず、あっけないもの。
この話は彼への不信感も付いてくるが。

息子のサーントの喜びはよく伝わってきて良かった。序盤のヒロインの嫌味ネチネチは私は好かない。
内側が光輝いているようにみえるとは、どんなビジュアルなのか、描いてくれれば!
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