幻のかなた
」のレビュー

幻のかなた

ダイアナ・ハミルトン/紅迫春実

種明かしを最後にしたいのは分かるけど‥

2019年4月15日
事ここに及んでも誰もセリーナに真実を話さない。セリーナ自身もドミニクの不誠実さや浪費を知っているのに追求していない。ドミニクをひたすら甘やかしている叔母、それに胡坐をかいているドミニクの言葉を鵜呑みにしているセリーナの行動は違和感しか感じない。かといって、突然現れたアダムが引き金になって叔父が倒れた事実は否めないが、それならそれでアダムと刺し違えてでもと彼から訪問の真相を聞き出すべきだった。それらがなされていない時点でセリーナの魅力半減である。セリーナがアダムに一目惚れしたのなら増して 可愛さ余って憎さ百倍並みに彼に食って掛かるくらいは期待してしまう。なのに、どうして?とか何が真実なの?とか振り回され過ぎていて興ざめさえする。世話になった叔母夫婦に何かしらの力になりたいと、仕事にも打ち込んできたという姿勢を見せているのだから、盾になって護ろう位は見たかった。でなければ、叔父の言う「優しくて強くて聡明な姪」を読み手に理解させられない。それどころか、姪が血のつながりの無い叔父に対して親密なのは、叔母にとって敵を意味するものだ。アダムにしても、前々から父にセリーナの事を聞いていて好奇心があった割には「愛など幻」だなんて、はぁ?という展開。なんだそりぁである。なので、アダムの気持ちの変化が分かりません。で、ついでに「幻のかなた」は何なのかもわかりませんでした、スミマセン。
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