姫ちゃんのリボン カラフル
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姫ちゃんのリボン カラフル

込由野しほ/水沢めぐみ「姫ちゃんのリボン」

名作に手を出してはいけない

ネタバレ
2019年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 名作からも駄作が生まれるものですね。まず、圧倒的な画力不足。水沢先生の作品に挑戦するなら、連載時期の水沢先生と同じ位(せめて足元くらいまで)の絵の安定感を養いましょう。人物の後頭部が大きすぎて頭のバランスが悪いです。個人的には、大地のサラ髪がベタになった時点で既に大地ではない。デフォルメも可愛く書けているようで狙いすぎて可愛くない。作画線もきれいに書けていますが普通すぎます。姫ちゃんのリボンは夢いっぱい元気いっぱい!だけどそれだけでは無くて、心が温まるお話なのに、線が普通なので画面の雰囲気が平凡になり、全然伝わりません(ありふれた少女漫画の画ですね)。Gペンで線が書けて、画力の高い素人は山程います。そこに作品ごとのセンスを光らせるのがプロなのでしょうが…。建物、動物、人物がただ書ける程度ではこの作品の雰囲気は再現できませんよ。
更にストーリーです。あの素晴らしい原作がありながら、どうしてこんな足早で消化不良で、丁寧さに欠け、姫ちゃんのリボンではない雑な姫ちゃんを完成させたのか…。水沢先生の姫ちゃんは元気印が一番ですが、それだけではなくて、優しくて思いやりがあって、意地をはってしまうことあるけど、すごく素敵な女の子です。…この姫ちゃんは元気なだけの阿呆でしかない。中学生男子の性格は皆ほぼ一緒。物腰柔らかだった支倉先輩も、硬派だったテツも、皆です。大地は笑ってばかりの昼行灯になってしまったし、エリカに至っては将来の魔法の国が心配になるほど落ち着きがない。この姫ちゃんを大地は好きになるのか?こんな大地を姫ちゃんは好きになるのか?こんなエリカを有坂君は好きになるのか?90年代至高作品の一つに数えられる姫ちゃんのリボンですが、それはたくさんの登場人物が漫画の中で、笑って、悩んで、怒って、焦って、泣いて、また笑って、皆がそれぞれ一生懸命生きていたからです。原作と同じにする必要はありませんが、もう少し個々を掘り下げて、丁寧に描けたのではないかと思います。
頑張って書かれた作者さんには申し訳無いですが、背伸びしすぎのリメイクでした。水沢先生が書くから姫ちゃんのリボンは成立しています。リメイクが原作を超えることはまずあり得ない話ですが、この作品は特に話になりません。水沢先生の姫ちゃんのリボンの大ファンである私には、残念ですが受け入れられません。
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