羊と鋼の森
」のレビュー

羊と鋼の森

水谷愛/宮下奈都

美しい音の世界に関わる人たちのおはなし。

2019年5月22日
還元キャンペーンの際に、スタッフさんお勧め作品のページを見ていて、ふと目に止まった作品。タイトルの美しさと表紙のセンスに惹かれて試し読みをして、そのままスルッと購入しちゃいました。
「調律師」というとても繊細な音の技術職の世界を通じて、静かで瑞々しい情熱や、夢を持つが故の苦悩が描かれています。青春モノとか成長物語にありがちな熱いパワー!みたいなものは無いのですが、根底に確かに潜む微熱のさじ加減が心地よい。
当たり前ですがマンガは音が出ないので、音楽マンガって難しいとこありますよね。加えてこの作品は元が小説との事。つまり音の世界を文字だけで表現した小説を、絵と台詞で再構築しなければならない訳で、絵の雰囲気とか作風との相性とかが特に問われそうな気がします。が、そこを気にさせることなく読ませるだけのセンスのある作家さんだと思いました。
恋愛とかドロドロとかじゃない、サラリと口溶けの良い優しいお話が読みたい、長編はしんどいけど短編集じゃ物足りない、て感じの時にオススメです!
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!