このレビューはネタバレを含みます▼
大元の部分で腑に落ちないところが色々目についてしまって、純粋に楽しめませんでした。いいと思えるエピソードも割りとあったのに、残念。
以下、大変もにょった部分を列挙した愚痴です、ご注意を。
まずヒロインが呑気すぎてイライラする。国交もなく情報が乏しい国への政略結婚の身代わりにされて、偽物だとばれたら断罪されて運が悪けりゃ命も危うい可能性もあるのに、そういうリスク分に相当するような報酬も大して提示されないで(王家に嫁げば豪華な暮らしができる、ってそんな他力本願なものが報酬になる訳ないでしょう…)、依頼を請け負って身の振り方を決めてるのはやけっぱち過ぎて変。楽観主義者っぽい感じではあったけど、これは諦観だと思う。そもそも勝手に連れてこられた異世界でこんな生贄みたいな扱い、人権重視が当たり前の現代人ならもっと抵抗してもいい気がする。だから、国にとって縁もゆかりもない人間を矢面に立たせようとしてるくせに、セクハラさえしてくるヒーローにヒロインが呑気に惚れていくのにも、感情移入できなかった。あと、中盤辺りで気心が知れてくると周りが心配するような事言ってきはじめるけど、あんた達身代わり計画に加担してる側なのに今更何言ってんだとしか思えなかった。
更に、ヒロインの生活拠点が何でヒーローの部屋なの?入れ替わる予定のお姫様の部屋で彼女と同居ならまだ分かるけど。「傷物に云々」云うなら、部屋分けたらいいだけ。計画に加担してるやんごとない人達なら用意できない筈無いだろうし、同居しなきゃならない理由も曖昧。仮に傍で守るとか言ったからと解釈したって、それで手を出しかけてたら本末転倒。非情な計画の立案者として完遂するつもりあるの?と思ってしまう。行動に一貫性が無い不誠実なこんな男によく惚れるわヒロイン。筋肉か?筋肉なのか?
他にもツッコミたいところは多々ありましたが、「呑気過ぎるヒロイン」と「何故か自室に同居させるヒーロー」、根本的にこの二点の不自然さが特に気になりました。
…あ~、 終盤、突然ドタバタ劇になったしコメディだったんだっけ?この作品…
とにかく核心からずれてるというか、浅はかなキャラクターばかりで、私にとっては読んでて終始釈然としない作品でした。