悪い男には裏がある【単行本版】
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悪い男には裏がある【単行本版】

魚谷あお/海野幸

小説版は読まずこちらのみ読了

ネタバレ
2019年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵柄が好みだったので購入したので、原作が小説ということを最後のSSで知りました。よく見れば原作者様は別の方なんですけどね。
小説をコミカライズするって結構難しいことなんじゃないかな、と個人的に思っていて、知らずに読んでいた中でも台詞が多いと感じる点がありました。北原の生い立ちというか、どうしてこんなに不器用なのかと諏訪が北原の過去を尋ねた電話の辺りとか、北原サイドの絵しか無く諏訪の表情などが見えなかったのが、今思えば小説が原作ゆえなのかな、と。
とは言えめちゃくちゃ気になる!ストーリーどころじゃねぇ!!みたいな不満は無く、やっぱりコミカライズって難しいんだなと思ったというだけです。諏訪サイドを描かなかったのは原作者様の意図もあったかもしれませんしね。
エロは少ないというか一回のみですが、ストーリーがとても良かったので個人的には満足しています。というか、このお話でそんないっぱいエロシーンがあったら台無しだと思います。大切な一回のためにいろんな展開を魅せてくれたので都度胸が締め付けられました。
違った性格と過去を持つ二人がお互いのトラウマを小出しにして、相手に受け入れてもらえるかどうかの探り合い、勘違いや一喜一憂を経て、歯車がうまく当てはまり実った恋がとても美しく、心に響きました。
ただ、特に諏訪の方は原作の設定と見た目が違い華奢な優男に描かれていて、そこを突っ込んだレビューもありますが私も確かになーと思いました。こちらのビジュアルはすごく好きなんですが、ジゴロっぽさはまるで無く、タイトル詐欺になりかねないかなと。本人の台詞で「この図体で」とかあるけど、言うことによって読者に信じ込ませようとしているように聞こえて、つまりはそう言ってもらわなきゃジゴロに見える設定を忘れるほどのただの良い男です。ジゴロに見えて家庭的過ぎるオカンというギャップが諏訪の魅力なのだから、もっとガタイ良く厳つく描いて頂くか、そういった絵柄の作家さんにお任せするのが良かったのかなと思います。
酷評挟んでますが、魚谷先生の絵柄は本当に好きです。作品との相性の問題というだけで、魚谷先生の今後の作品をお待ちしています。
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