王様ランキング
」のレビュー

王様ランキング

十日草輔

辛いけれど、勇気をもらえる

ネタバレ
2019年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 題名の通り。聴覚がないから健常者のように発声ができないボッジの生き方、彼への子供の邪気のない悪意の言葉、大人達の陰口、悪口。けれど直向きな彼を見守る心あるモノが、“何かしら”大事な想いを思い出させ、抱かせる。
自分も、読んでいると昔を思い出した。
ボッジのように陰で嘲笑われた自分がいたこと。ボッジを嘲笑う自分がいたこと。
忘れてはいけない。これは本当に、大人だけではなく老若男女問わず読むべき作品だ。
意地悪な継母かと思ったヒリングが、結局は誰よりもボッジを心配し、愛している。理想とは言い難いけれど、ボッジが歪まなかった大切な存在の一つが、彼女なのだろう。
作者には、一体どんな過去があるのだろう。単純だが良くも悪くも、多くの人の心を衝く内容だ。他人には、容易に理解できない辛苦があったのかもしれない。

ダイダラボッチーー日本の古い信仰の一つ、山や国造りの巨人の名前。ボッスも巨人で、ダイダとボッジーー巨人の血を引く子供。二人で国を守るのか。ミツマタもヤマタノオロチになぞらえているのか。なら、カゲはどうなるのだろう。カゲーー影武者として、ボッジを守って死んでしまうのか不安。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!