3番線のカンパネルラ
」のレビュー

3番線のカンパネルラ

京山あつき

現実的で、それでいて長くて淡い夢の様な

2019年7月31日
表紙のイラスト、タイトルの空気感に惹かれ購入してみました。綺麗〜〜なファンタジーなお話かなと思ったのですが良い意味で少し違いました。

彼氏に振られ、落ち込みながら味気ない日々を過ごしていた主人公。偶然駅のホームで出会った男子高校生と接点が出来、毎朝の出勤の楽しみになります。初めはこの高校生の男の子と恋愛が進んでいくのかと思っていたのですが、優しさに飢えている主人公は務めている店の店長に心を揺さぶられ始めます。
場面ひとつひとつの主人公の感情がとても繊細に描かれていて、同性愛者である私は「すごく分かるな」と思いながら店長の優しさにキュンと来たり、何気ない一言に傷ついたり…。

起承転結のある「物語」ではなく、主人公の気持ちに寄り添うエッセイのような感じです。BLでこういうテイストの漫画は少ないんじゃないかな……。

「生きる」と「恋する」を彷徨う各駅停車のトリップラブ。話の中にも出てくる「銀河鉄道の夜」のような、 とても現実的なのだけれど美しく、どこか暖かい、誰かの夢を見ているようなお話でした。

とても良かったです……!
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