応天の門
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応天の門

灰原薬

人物の描き分けが見事で感動!

2019年8月26日
後に文官として花を開かせる菅原道真と既に武官として働き盛りの在原業平が不思議な相棒関係に。まだ文章生の一人で何も成し遂げていない若き日の道真が主役という設定がとっても面白い!親友と伝わる紀長谷雄の存在がまた愉快で…。藤原氏と伴氏の対立や藤原基経・高子兄妹の確執など平安前期の情勢も絡めて登場人物は多様ですが、個性的な人物の描き分けが見事で感動します。妙にツボったのは源信・融兄弟。その人格を高く評される知識人・信と光源氏のモデルとされる風流人・融。ある人物を挟んで二人の性質の対比がユーモラスに描かれていて楽しい!他にも道真と縁があると伝わる人々と触れ合う場面はどんな風に表現されるのだろうとワクワクします。創作の中に忍ばせる史実の塩梅が絶妙に良い印象。続きが本当に待ち遠しいです!
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