クラスメート、上村ユウカはこう言った。
」のレビュー

クラスメート、上村ユウカはこう言った。

桜井慎/川上真樹

良くも悪くも人間の身勝手を考えさせられる

2019年9月10日
序盤は''理解のできない、イタイ発言''をするヒロインと、そんなヒロインに巻き込まれる主人公、という体で始まる。
その段階から、読者としては''理解のできない''発言の真意を推測と、キャラクターたちのどこか歪な掛け合いを楽しませてもらえた。
それが、話が進むごとに新たな謎が供給され、少しずつ紐解けていた謎の答えが、まだまだ遠いところにあるのだと、ページを読み進める毎に興奮させられた。
ストーリー展開としては後半からやや急ぎ足であったが、全体的な流れの早さは統一感があったように思う。
6巻であらかたの謎は解け、この作品は世界観の紐解き、に焦点をあてて読むと楽しい。
そして、謎解きでそこまで重要とならず、語られずじまいであった空白の、過去の時間や、完結で終わってしまった、これからの、キャラクターたちの未来を想像する余地があり、そこがまた楽しい。
終わりはタイトルと重ねてくる、定番と言えば定番の絞め方であったが、多くの謎と歪な世界から始まったストーリーなだけに、その終わりがスッキリと、物語が一応これで満足のいく謎解きを終えたのだという満足感を与え、私は大変気持ちよく読了できた。

話は恋愛も絡みつつ、人間の欲深さや身勝手さ、そして理性と感情と、流れる時間で移り変わる価値観の矛盾を考えさせられるものであり、読む人によって評価が二分する印象を受けるものであった。
今のところレビューの評価は低いものであるが、私はこの話を読み終えた後の満足感から、暫くは声も出ず、少したってから「すげぇ……好きだわ」と言うお粗末な感想を述べ、レビューの低さに気付き、今慌ててない語彙をフル活用してこの作品のレビューを書かせてもらっている。
どの作品に対してもそうだが、レビューはあくまでも参考である。
客観的でなく大いに偏った主観から出ている低評価でこの作品を読まないと判断する前に、まずは試し読みで一度、自らの目でこの作品が自分に合うかどうかを確かめ、自分の評価を下してほしい。
私としては、最高!!!!とも言えないが、「好き」と感じる作品であったことには間違いない。
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