堕ちた令嬢 ~もう道は踏み外さない~【電子版特典付】
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堕ちた令嬢 ~もう道は踏み外さない~【電子版特典付】

ベキオ/白谷ゆう

最初は良かったのに…

ネタバレ
2019年10月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の方もレビューに書かれていますが、前半はまだ良かったです。
私自身、試し読み部分の設定が面白かったので、続きが気になって購入しました。
しかしながら、中盤以降のヒロインの立ち振る舞いというか、他人から高評価を受けて逆ハーレム状態にあるにもかかわらず、他人の好意に一切気がつかない、キョトン系ヒロインにイライラ。
前世で証拠を残さないように悪逆非道の限りを尽くしていたのなら他人の感情の機微にも鋭そうなのに、設定の矛盾さを感じました。
さらに、メインヒーローとなるお相手との交際に至るまでのエピソードが希薄で、挿絵がなければ魅力が全くありません。
一番盛り上がるであろう自身の抱えるトラウマの告白のシーンは、「思い切って全てを打ち明けたら受け入れてくれた。こんなに幸せなことなんてない!」というような数行で終了。描写なし。嘘でしょう?
さらにここ1番の山場で主人公を助けにくるのは、メインヒーローではなく当て馬さん。
当て馬と分かりきっているので、恋の駆け引きや誰を選ぶのだろうかというドキドキ感はありません。
王族からの求婚を一介の貴族が断るだけでも大変な事なのに、こちらも不思議な愛されヒロインパワーが働いてアッサリ解決されます。
ワーヒロインチャンスゴイネー。

後半はほぼヒロイン目線の説明文で終わっていきます。上記の山場からゆうに60ページほどは説明文が続きます。ここからもう一山あるんじゃないかと期待しても、登れる丘は一つしかおりません。あとは平坦な道をただただ歩いていくしかありません。

冒頭の設定は引き込まれるものがあっただけに、どうしてこうなったのかという無念さに尽きます。前世で悪逆非道を尽くしたことを知っているのが本人だけなので、いかに現世が2回目の人生でかつての私はこんな酷いことをしたのだから罰せられるべきだと訴えても証明するものがないので、ただのメンヘラヒロインにしか見えない。
メインヒーローも同様の一週目の因縁がある人物で、前世の行いを本当に悔やんでいるヒロインに惹かれ、そんな彼女の罪の意識を包み込んで許しを与え、もしまた間違った道を歩みそうになれば彼女を諌める、そんな関係が描かれるんじゃないかとか。
もしくは、本当に過去を省みて周囲の幸せのために尽力する縁の下の力持ちヒロインが描かれるのではないかとか。
過度の期待を抱いてしまった自分が一番悪いですね。
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