臨終の要塞 分冊版
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臨終の要塞 分冊版

吉田薫

心が痛い…でも、メッセージがある作品

ネタバレ
2019年10月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 怖そうな表紙だけれど何だか読みたくなりました。
とても心が痛い作品です。
冒頭のベッドに縛り付けられている老人に、同じようにベッドに拘束されていた祖父を思い出しました。
暴力をされていたかはわかりませんが、いつも出たいと言っていました…。特定の介護士さんが来ると怖い怖いと言って怯えていました。
当時の記憶と重ねても、状況や環境をよく知って描かれたのだと思いました。

そしてはぶ園の仕組み…凄いです。怖いけれど、老人にした仕打ちがそのまま返ってくる。ウラシマとう自分では外せない機械で、自分が老人と同じ老いという不自由さを味わう。でも、機械をつけてあっという間に亡くなります。もう少し自分のしたことを体験してから、と読んでいて思いました。

無差別に機械をつける人間を選んでいるわけではないようなので、怖くて心が痛いけれど、後味が悪い作品ではないと思います。
続きを読んでいきたいと思いました。
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