パブリックスクール
」のレビュー

パブリックスクール

樋口美沙緒

名文

ネタバレ
2019年10月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「初夏の風が枝を揺らすと、そのざわめきで鐘の音も、生徒の声も、コマドリの囀りさえ聞こえなくなった。生い茂る森の緑に全ての音が吸い込まれ、あたりはシンと静かになる。美しい国だ。礼は改めて思った。ありとあらゆる喧騒も、嘆きも、喜びさえ平らかにし、静けさに変えてしまう不思議な国。森は豊かで、川面には光が反射してきらめいている。こんなにもきれいな初夏の風景も、すぐに思い出に変わるだろう…。」作品から抜粋しましたが、名文です。主人公の心情がこんなにも美しく表現されたラノベは未だかつてあったでしょうか。文章力に難ありのラノベが氾濫している今、パブリックスクールはライトなノベルの枠を超えて、読ませる小説なのです。
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