バースデー
」のレビュー

バースデー

安西リカ/みずかねりょう

もう一回読みます!

ネタバレ
2019年11月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 切ない話に深夜一気に読んでしまいました。早々に読者にはすべて明かされていて百合原と滝本の心情に焦点があります。百合原の過去にあった暴力や両親の事情は重い文学作品であれば執拗に表現されそうなところですが読者が察する程度の表現にとどめられ読むのにストレスを感じさせません。滝本が三希を愛し失うことに怯えながら溺れていく過去が切なくて一気に滝本に感情移入し、今度は滝本が愛した三希ではない自分を悲しむ百合原に同情して読みながら泣きそうでした。本音をみせない三希が滝本を愛していることも、三希という名前が百合原の切実な願いがこもっていることもまた切ない。誕生日がないという三希。バースデーというタイトルが色んな意味を感じさせて切ない。もう切ないしか言えない(笑)ストーリー自体はもしかしたら過去のドラマ等を彷彿とさせますが新聞配達という地味な背景や周りの人との温かい交流が本当に普通でやたら刺激的なドラマに仕立てていないのも良かった。三希の服が量販ものであることに滝本が驚くシーン、恋に落ちるとても良いシーンでした。ラストもほんっと良かったなぁ。初めて読む作家さんですが人物描写がほんとに上手くて他の作品も読みたいと思います。
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