砂漠の国の国王の子を身ごもったかも知れず

ゲームかアニメか、という美麗な絵で、巻頭カラー頁には目が止まってしまう。
人物だけでなく、背景など雰囲気作り上手い。先生の作品は細部まで実にお見事。ほぼ人物しかない(描けない？)漫画作品は私は読みたくないから。

ただ、大きな鳥を普通の服の袖口一枚で掴まらせるなどあり得ない。
話が浅い。ヒロインの職業はただ箔付けにバーティプランナーとしているだけに思えてくる。その職業に就いている理由をキャラ付けに利用する為だけ？。人の喜ぶ顔が好きだから、というが、ほかのあまたの職業の中の決定的選択理由には感じられない。事業はどうなるのか。経営者として成功しているのなら、関係者は大勢いるし従業員もいることだろう。そういう設定を使って、帰ってくるところはあると、留守番の信頼する相手に後はよろしく頼む、というのか。
HQが、ヒロインが職業を持つということを添え物の扱いとすることが多いのを苦々しく思っている私の目には、格好の残念な典型例。

極めつけは、私がこれも寛大になれない妊娠初期の軽率な行動。知らなくて動き回ったんじゃない。診察結果を知ってもやれる事か？
それも、絶対行くなと言われた所へ？頭に血が上っていようと、自分は死んでもいいとたとえ(これはそういう話ではないが)思ったとしても、同情する点無し。

こうした拉致被害者がストックホルム症候群であろうとなかろうと、結果よければ全てよし、ではない。映画キングコングではないけれど、世の中さらわれ願望の人たちがいるのだろうか？

ヒロインも彼も、気持ちは向き合っていても、結婚は、ヒロインと苦楽を共にしてきた仲間へ、一種の仁義を切る、というか、けじめをつけることを、しなければならないだろう。ヒロインが心血を注いできた事業を、残された者達が続けるなら、必要なことはいろいろあるはず。

どのエピソードも酔えなかった。たとえ絵空事でも信じ込ませてくれる作り方であって欲しい。あり得ないことでも、こんなのあり得なーい、と読み手のこちらが思ってしまったらおしまいなのだ。

彼の言葉、決意は良かった。

二人の気持ちの、日を追って近しくなっていく様が、盛り上がりを感じ取れなかった。淡いただの好感レベルでうろついているところに、急に第二夫人第三夫人うんぬんでその行動に？
そこまで思慮深くない人物が国王妃？キルという国は果たして大丈夫なのか？妃の職位にも疑問符が。