シチリアの恋人たち・完結編 選ばれた花嫁
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シチリアの恋人たち・完結編 選ばれた花嫁

ルーシー・ゴードン/宮花みん

マリッジ

ネタバレ
2020年1月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ ロレンツォにとってヘザーの時は違って、エレナは結婚相手足り得る、というところが視覚的表現に乏しい。 「教会を出て行く勇気」を持っていたと本作では称賛されるロレンツォが、かつて恋人にしたことが巡って自分にもあったことを体験する。バランスを原作(未読)が取りたかったのかもしれないが、この設定まずありき(式のこと)で他を作ったかのよう。86頁など特に不自然だし90頁辺りまでヒロインが本来払わねばならない賠償は膨大なはずだ。富豪の太っ腹としても別れ話と訳違う。不信感とその払拭も肩透かし。各所、前と後との場面連係がちぎれてる。
それでいてリカバリー企画が幼稚に見える。

エレナの迷い、サラの腹いせ行為、バクスター社との取引案件、名前の呼ばれかた、不穏分子ジョルッジオなどなど、ストーリー中異物のようでうまく入り込んでない。ベルナルドも、本作ではキャラ変に思える。男達の中傷も、そこまでしなくても金持ちの顛末はいつでも新聞ネタで、再度小さな社会の噂になるのに!?
もう会わない、の場面から一転し自宅で手料理まで2週間、時の経過を思わせる描写抜きで強引な箇所などが進行上唐突感。

みんなカップルに出来上がってしまう花盛りぶりがHQ的なのだが、話には出て来ても進捗感を持てない母親の恋愛迄となると、やはり奇異。
本作いろいろとつぎはぎ的に感じ、滑らかさ不足。視覚的にもだが、気持ちの動きにも、納得しづらいところ多い。

絵もメインキャラの存在感弱い。プレイボーイがプレイボーイに面影さえ見えない。

皆の高評価謎である。
私には三作中最もパッとしないと感じ、先行二作に安易に頼って少し展開が強引とも感じる。当人と知らず出会いインスタント彼氏に乞われるくだりは話の造りがわざとらしい。ホテル業で働く管理職候補のバリキャリなら、接客のプロ、なんでも自分のことをベラベラなんて、それはあり得ず、しかもその設定で相手の素性に関しても無頓着無防備、ライバルならどうしてたのか。まして路チューなど、序盤からストーリー進行に不信感、肝心なことを知らず挙式直前に知るも当人多忙で捕まらずというのも、すれ違いがわざとらしくてまともにハラハラすることも出来ない。面白くしようとして、あざとくなった。
三部作だから最終作なので読み通そうと思わなければ、コメディとして開き直らない限りこれらのシーンのところ、読んでいられない。
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